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2024/5/17

【パワー半導体】クオルテック、研究開発拠点を開所。新規次世代半導体材料GeO₂半導体の製膜事業の早期参入を目指す

 クオルテックは、2024年5月10日、「滋賀県立テクノファクトリー(※1)」内に、新規次世代半導体材料を使用したパワー半導体の製膜における研究開発拠点を開所した。開所式にはクオルテックが本研究開発に関して資本業務提携し、「琵琶湖半導体構想(案)(※2)」を推進する立命館大学発ベンチャー、Patentixも出席し行われた。

開所式におけるテープカットの様子

 PATENTIXと同大学総合科学技術研究機構の金子健太郎教授/RARAフェローと共同で研究・技術開発を進めている、新規次世代半導体材料として注目される「二酸化 ゲルマニウム(GeO₂)」の Phantom SVD(ファントム局所的気相成長)法による4インチSiウエハ (100)上への製膜に世界で初めて成功した(※3)。
 これを機にクオルテックが二酸化ゲルマニウム薄膜の大面積化に向けて、GeO₂薄膜の電気特性評価や膜中に存在する欠陥評価等を行い、高品質な GeO₂エピ製膜技術の開発を進めていくために開所した。

4インチウエハ上に成長した二酸化ゲルマニウム

 GeO₂半導体は、シリコン(Si)やシリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などに比べ、低損失化、高耐圧化、小型化の面で優位性を持ち、新規次世代半導体材料として有力視されている。
 クオルテックの強みであるパワー半導体の信頼性評価技術を生かし、新規次世代半導体材料であるGeO₂半導体(※4)のエピウェハの早期供給に向け、GeO₂のルチル相などを分析・評価する多目的X線回折装置などを導入し、製膜試作や分析・評価に取り組む。
 今後は、半導体前工程における評価段階である研究開発および、量産に向けた試作フェーズとしてPATENTIXと共同研究開発に取り組み、2027年には、量産フェーズとしてGeO₂半導体の製膜事業参入を目指す。

中期成長戦略より「今後のロードマップ」抜粋

※1 滋賀県立テクノファクトリー:滋賀県が新規事業や新分野を目指す方に向けて、独創技術や新製品の研究開発を行う場として、県工業技術総合センターや滋賀県立大学などにレンタルラボ「滋賀県立テクノファクトリー」を設置し、県内産業の振興を図ることを目的に整備された賃貸型工場施設。
※2 琵琶湖半導体構想(案): PATENTIX社 ホームページ参照
※3 この成果は、2023年11月15日~17日に立命館大学朱雀キャンパスで開催されている半導体実装技術に関する国際会議 “IEEE CPMT Symposium Japan (ICSJ) 2023”において、プラチナスポンサーであるPatentixのブースにて発表された。
※4 GeO₂半導体:(PATENTIX社ホームページより) GeO₂ は、ルチル構造、α石英構造、CaCl2 タイプ、α-PbO2 タイプ、pyriteタイプの5つの結晶多型をもちます。その中でもルチル構造r-GeO₂ は、4.6eVという巨大なバンドギャップをもち、n型、p型の両伝導が理論予測されていることから次世代の高性能Normally-off型MOSFET等への応用が期待されている。

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