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2025/9/19

【パンの紙】ペーパル、敷島製パンとパンの粉を活用したサステナブルな紙を共同開発

 明治23年創業の紙屋であるペーパルは、敷島製パン(Pasco)と共同で、 「食パンをカットする際に生じるパンの粉」をアップサイクルしたサステナブルな紙、『パンの紙』を開発した。

 同製品は、敷島製パンが製作する「食パン型名刺」に採用され、2025年9月1日から試用が開始された。ペーパルはこの取り組みを通じて、未利用資源の新たな利活用の可能性を提案し、持続可能な社会の実現に貢献する。

1. 同開発の背景

「食パンをカットする際に生じるパンの粉

 ペーパルは、これまでも製造工程などで発生する野菜や果物などの副産物から紙を開発する事業を通して、循環型社会の実現に貢献してきた。 この度の開発は、2023年11月に敷島製パンの研究開発担当者より、食パンの製造時に出るパンの粉の新たな活用法についてご相談をいただいたことから始まった。通常は飼料などにリサイクルされる素材を、紙としてアップサイクルするという先進的な構想に共感し、共同開発に着手した。

2. 開発のプロセス

 パンの主成分である小麦は、水分を含むと強い粘性を持つため、紙化には技術的に難しい素材あった。開発初期段階では、食パンの粉が製紙機械に付着し、安定生産が困難な状況が続いた。 しかし、米を接着剤にして紙の原料にした独自のノウハウを活用しつつ、度重なる調整により、これらの課題を克服。当初、印刷適性を確実にする「三層抄き」での試作を行ったが、それではパンのような素朴な風合いが失われてしまった。目指したのは、パンの痕跡を残した温かみのある手触りと、美しい印刷を両立させること。そのために、より難易度の高い「一層抄き」での開発に挑んだ。荒々しい表面を残しつつ印刷加工を可能にするという、相反する課題を解決するため試行錯誤を重ね、約1年半の歳月をかけ、ついに理想の『パンの紙』が完成した。

3. 『パンの紙』の主な特徴

特徴: 敷島製パンの主力商品「超熟」などをカットする際に生じる食パンの粉をアップサイクル。印刷適性を考慮し、2〜3%配合したが、「一層抄き」で作ったため表層にしっかりミミが見られる。

風合い: パンのような素朴な風合いを再現。触れると柔らかさを感じられる1枚になった。

4. 三社の協業による「食パン型名刺」の誕生

 開発された『パンの紙』の初の実用例として、敷島製パンの「食パン型名刺」が誕生した。名刺の印刷および特殊な形状への加工は、サイバーネットが担当した。3社の技術と知見を融合させることで、『パンの紙』の素材感を活かした、ユニークで温かみのある名刺が完成した。

食パン型名刺

5. 各社コメント

■敷島製パン(Pasco) 担当者

 弊社の研究開発担当者の熱い想いを引き継ぎ、名刺に仕上げるまでの過程に携わりました。印刷品質を担保しつつもパンの温かみを残した紙づくり、形状やデザインなどのこだわりを詰め込んだ名刺づくり、弊社の想いに応えてくださった皆様に感謝しております。この名刺を受け取った方がニコッと微笑んで弊社の取り組みに関心を寄せてくださったら、大変嬉しく思います。

■サイバーネット 担当者

 初めてお話を伺った際には、非常に難易度の高い印刷になると感じました。しかし、名刺印刷のリーディングカンパニーとして培ってきたノウハウを最大限に活かし、敷島製パン様がご希望された「パン型の型抜き」や「『パンの紙』への印刷」を、無事に実現することができました。これからも、“お客様の想いをカタチにする名刺づくり“に挑み続けてまいります。

サービスサイト:https://printbahn.com/

■株式会社ペーパル 開発責任者 長谷川敦士氏

 敷島製パン様の1通のメールから始まったこの挑戦は、困難の連続でした。しかし、ご担当者様の熱意に支えられ、当社の技術を結集することで、こうして『パンの紙』として形にできたことを誇りに思います。今後も様々な未利用資源の可能性を追求してまいります。

6. 今後の展望

 ペーパルは今後、『パンの紙』を名刺用途に留まらず、さまざまな未利用資源から新たな価値を創造し、企業や社会の課題解決に貢献していく。



7.会社概要

ペーパルについて
1890年(明治23年)に奈良で創業して以来、135年に渡り紙の販売を通じて日本の紙文化を支えています。2008年にFSC®/COCを取得して以来、「紙」という循環可能な素材を社会に提供し、啓発活動を行うことで、SDGsへの取り組みを推進している。SDGsの取り組みをさらに拡大させるため、2020年4月より「フードロスペーパー」の開発を行うプロジェクトを立ち上げ、「kome-kami」や「クラフトビールペーパー」など様々な素材をアップサイクルした紙を開発。2023年からは「ゼロCO2ペーパー」を発売。森林のカーボンクレジットのみでオフセットした紙の販売を通じで、日本の林業を応援することを目標としている。2025年には50トンをオフセット達成。新展開としてCO2実質ゼロの“パッケージ用紙”「GXアイボリー片面-FS」を発売した。

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