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2025/3/25
【フィルムセンサー】TBMと太陽機械製作所、「LIMEX Sheet」を基材とする環境配慮型デバイスを開発
TBMは、太陽機械製作所独自の導電パターン高速転写技術HSP(High-speed printing)方式を活用し、炭酸カルシウムなどの無機物を主原料とする「LIMEX Sheet(ライメックス シート)」に導電回路を印刷した、環境配慮型フィルムセンサーデバイスを開発した。エレクトロニクス分野におけるLIMEXを使用した開発は、今回が初の事例となる。
今後TBMは、世界50カ国以上での製品販売の実績を持つ太陽機械製作所と、「LIMEX Sheet」の環境性能と太陽機械製作所のHSP技術を融合した環境配慮型フィルムセンサーデバイスの製造技術の確立および量産化に向けた協業を開始する。

■ 背景
近年、各分野におけるインターネット活用(IoT)の技術革新が進展し、核となるデータを収集するセンサーデバイスの需要が大きくなってきている。こうした背景から、従来の印刷技術をエレクトロニクス分野に応用することで、多様なセンサーや電子回路を迅速かつ低コストで提供できるプリンテッドエレクトロニクス技術が注目されている。また、近年では欧州を中心に「サステナブルエレクトロニクス」と呼ばれる新たな概念や技術も登場しており、従来プロセスの改善とともに、環境負荷の低い素材への転換が求められている*。
* S. Harkema, TechBlick Master Class 2023(Berlin)
■ 今回の開発ポイント
通常、フィルムセンサーデバイスの印刷にはカットされたシート基材を使用する枚葉印刷が主流だが、印刷インクの焼成時間が長く、焼成温度も高く設定する必要があることから、量産性および工程上の高い環境負荷が課題であった。また、「LIMEX Sheet」への従来の導電パターン形成では、印刷時に熱物性的な課題が生じるケースがあり、エレクトロニクスデバイスの開発・量産化に障壁となっていた。
今回の開発で活用した太陽機械製作所独自の導電パターン高速転写技術HSP方式(High-speed printing)は、速乾性インクを滑らかに供給する独自の印刷技術により、フレキソ方式のRoll to Rollによる高速印刷が可能。これにより、大幅な乾燥時間の短縮を実現することで、製造プロセスの省エネルギー化も兼ねた量産性の高いフィルムセンサーデバイスの製造を可能とし、かつ「LIMEX Sheet」への導電パターン形成にも適した手法となった。

「LIMEX Sheet」をフィルムセンサーデバイスの基材として使用することで、従来のPETフィルム製基材と比較して、石油由来プラスチックの使用量を約55%、CO2を含む温室効果ガスの排出量を約52%削減が見込める。従来の紙基材と比べた場合は、水利用量も約94%削減できる効果が期待できる*。
* TBMの推定に基づく概算値であり、保証値ではない。データ取得状況等に応じて変更の可能性がある。計算対象は基材部分のみで、原材料調達~焼却処分(タグへの加工・輸送の工程は除く)
■ 今後の展開
プリンテッドエレクトロニクス市場は、2035年に約2兆円規模に達すると見込まれている*。今回開発したフィルムセンサーデバイスは、温度、湿度、加速度、圧力、光など多岐にわたる計測用途に対応するセンサーの展開候補であり、これらのグローバル出荷金額は過去10年で約2.3倍に増加している*。
今後、TBM は、同市場で成長が期待されるサステナブルエレクトロニクスデバイスとしての環境対応を推進し、太陽機械製作所と連携して「LIMEX Sheet」基材の環境配慮型フィルムセンサーデバイスの製造技術の確立および量産化に向けた協業を開始する。また、同業界各メーカーや関連企業との連携を強化し、エレクトロニクス分野における「LIMEX Sheet」の普及に取り組んでいく。
* 「DX/サステナブル社会における有機エレクトロニクスの将来展望 2022」より算出
* JEITAセンサ・グローバル状況調査 センサ・グローバル出荷実績(2021・2022年)の発表:https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/sensor/pdf/230911.pdf
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