アーカイブ情報
2026/3/18
【フレキシブル太陽電池】NEDO、「設計・施工ガイドライン」公開
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、「フレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン」を2026年3月18日に公開した。
太陽光発電の導入が急速に拡大する一方、太陽光発電の適地は少なくなり、一部では地域との共生上の課題が顕在化している。そのような中、とりわけ、日本発のペロブスカイト太陽電池(PSC)は柔軟・軽量といった特長から、従来は設置が難しかった耐荷重の小さい屋根や建物壁面などへの普及が期待されてる。
このガイドラインでは、PSC、カルコパイライト太陽電池(CIS太陽電池)、薄型結晶シリコン太陽電池などのフレキシブル太陽電池について、安全・信頼性を考慮した上で導入を進める観点から、太陽光発電設備の構造や電気に関する設計・施工の要求事項について、建築、電気などの各分野で注意すべき事項を文献などから取りまとめたものである。今後、フレキシブル太陽電池の製品化動向を踏まえつつ、風荷重や雪荷重に関する構造安全性や燃焼試験、破壊試験を通じた電気安全性などの評価を実施し、同ガイドラインを随時改訂し、公表する予定。
ガイドラインが活用されることで、フレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電システムの安全性・信頼性が確保されることに貢献する。これらによって、PSCなどの社会実装に寄与し、太陽光発電の導入拡大における適地制約を克服し、2050年カーボンニュートラル実現を目指す。


(積水化学工業・積水ソーラーフィルム)
背景
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画において、2050年のカーボンニュートラル(CN)の実現に向けて、「再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、関係省庁や地方公共団体が連携して施策を強化することで、地域との共生と国民負担の抑制を図りながら最大限の導入を促す」とされ、具体的には「電力市場への統合に取り組み、系統整備や調整力の確保に伴う、社会全体での統合コストの最小化を図るとともに、再生可能エネルギーの長期安定電源化に取り組む。また、導入拡大にあたっては、イノベーションの加速とサプライチェーンの構築を戦略的に進め、国産再生可能エネルギーの普及拡大による技術自給率の向上を図るとともに、使用済み太陽光パネルへの対応等を講じていく」との方針が示された。さらに、2022年2月のロシアによるウクライナ侵略以降、エネルギー安定供給の確保が世界的に大きな課題となる中、GX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するべく、2023年2月に「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され、改めて再生可能エネルギーの重要性が強調されている。
こうした中で、特に、太陽光発電は、2012年のFIT制度※1開始後に急速に拡大した一方で、台風、積雪、豪雨など自然事象による被害が少なからず発生しており、太陽光発電設備の安全性に対する地域の懸念が高まっている。NEDOでは、太陽光発電システムの自然災害や経年劣化に対して安全性と経済性を確保するため、2018年に策定した「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン」を皮切りに、地上や建物、水上、農地などさまざまな設置環境に応じた設計・施工ガイドラインを公開してきた。
ガイドラインの概要
日本の太陽光発電は、国土面積当たりの導入容量が主要国最大級であり、適地が不足しつつある。そこで、地域との共生や環境への配慮を前提としながら、従来設置が進んでいなかった、耐荷重の低い屋根や建物壁面などへの設置を進めるため、柔軟・軽量などの特長を兼ね備えたフレキシブル太陽電池の早期社会実装が期待されている。フレキシブル太陽電池は、PSCやカルコパイライト太陽電池(CIS太陽電池)※2、有機薄膜太陽電池※3、薄型結晶シリコン太陽電池※4などさまざまな種類の太陽電池開発が行われている。特に、PSCは、グリーンイノベーション基金事業などを通じた官民連携した開発・実証が進んでおり、国内でも2030年までの早期にGW級の量産体制を構築するべく、量産化に向けた設備投資が開始している。このような中で、建物などへの負担を抑えて屋根や壁面へ設置でき、曲面を含む多様な形状への対応も可能であるため、さらなる太陽光発電の導入拡大に貢献することが期待されている。
しかし、PSCをはじめとしたフレキシブル太陽電池の構造設計に対する知見はまだ十分ではなく、安全なシステムを構築するための情報整理が必要。そこで、需要家や設計者に対し設計・施工方法についての情報公開を行うため、NEDOは「太陽光発電導入拡大等技術開発事業※5」において、産業技術総合研究所、構造耐力評価機構、太陽光発電協会が取りまとめたガイドラインを2026年3月18日に公開した。
同ガイドラインでは、フレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電設備について、可撓(かとう)性のある太陽電池を利用した場合の荷重・耐力設計の考え方、フレームレスなどの接地方法、フレキシブル材料の燃焼性などの考え方について、これまで太陽光発電の導入に必要な設計・施工のガイドライン策定に携わってきた有識者を中心としたワーキング・グループにて議論し、建築、電気などの各分野における既往の規基準、指針などの文献を中心に取りまとめた。なお、今回対象とする太陽光発電設備の設置形態は主として建物設置型であり、畜舎・園芸施設、建物内部(室内)などに設置される設備は対象外としている。
今後の予定
ガイドラインは、PSCをはじめとしたフレキシブル太陽電池を用いた太陽光発電システムの導入を検討している事業者などに活用されるため、セミナーをはじめとする周知や意見集約に取り組む。また、風荷重や雪荷重に関する構造安全性や燃焼試験や破壊試験を通じた電気安全性などの評価を実施し、ガイドラインの精緻化を行う。さらにフレキシブル太陽電池の製品化が順次行われ施工事例が増えていく見込みであることから、設計・施工の横展開可能性や技術確立の状況を踏まえ、設置場所や施工形態などの対象追加を検討する。こうした内容を随時反映させ、順次、改訂版を公表する予定です(遅くとも2027年度には改訂版の公表を想定)。
このガイドラインが活用されることで、PSCをはじめとしたフレキシブル太陽電池を利用した太陽光発電システムの安全性・信頼性が確保されることに貢献する。これらによって、PSCなどの社会実装に寄与し、太陽光発電の導入拡大における適地制約を克服し、太陽光発電の大量導入を基調とした2050年カーボンニュートラル実現を目指す。
※1 FIT制度
固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)は、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が国の定めた固定価格で一定期間買い取る制度。
※2 カルコパイライト太陽電池(CIS太陽電池)
CIS太陽電池は、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)などの化合物半導体から構成される薄膜型太陽電池。「カルコパイライト」はCIS太陽電池の結晶構造の名称。
※3 有機薄膜太陽電池
有機半導体を発電層として利用し、材料を塗布することで製造できる太陽電池。
※4 薄型結晶シリコン太陽電池
結晶シリコン太陽電池のカバーガラスを樹脂に置き換えるなど構成を変えることで薄型化した太陽電池。
※5 太陽光発電導入拡大等技術開発事業
事業名:太陽光発電導入拡大等技術開発事業
事業期間:2025年度~2029年度
事業概要:太陽光発電導入拡大等技術開発事業
- カテゴリー
- コンバーティングニュース

