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2024/10/9
【ペロブスカイト太陽電池】マイクロジェット、試作用IJ塗布装置 PerovsJet の販売開始
インクジェット(IJ)技術の工業応用分野で研究開発用装置の開発を行うマイクロジェットは、ペロブスカイト太陽電池におけるペロブスカイト層のIJ塗布評価や試作を実現できる卓上型のIJ装置の販売を開始した。
【太陽電池ペロブスカイト太陽電池】
太陽電池は結晶シリコン型太陽電池に代わる次世代太陽電池として世界中の関心が集まっている。この太陽電池はペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ化合物を使用しており、低コストかつ軽量でフィルム状に加工でき、シリコン型では不可能であった窓ガラスやビルの壁面への設置、自動車への搭載も可能であり、日本発の技術として大きな注目を集めている。
【開発の背景】
現在、ペロブスカイト太陽電池の研究開発は主にラボスケールで進められており、特にスピンコート法による薄膜の機能評価が中心です。しかし、スピンコート法は大型化が難しく、将来の商用化・量産化を考えると、ペロブスカイト太陽電池の大面積での製造が重要な課題となっている。
この課題を解決する有望な技術の1つとして注目を集めているのが「インクジェット技術」。プリンターに使われているIJ技術を応用して、インクの代わりにペロブスカイトの液材料を小さなノズルから噴射して均一なペロブスカイト層を形成することができ、塗布面積の大面積化にも適した技術といえる。すでに大型の液晶パネルの製造工程の一部には、このIJ技術が利用されていることからもこの技術の応用が期待されている。
さらに、IJ技術は必要な部位のみに塗布するため材料の使用効率が高く、画像や文字などのグラフィカルなパターン形成も可能であり、他の塗布方式に無い特徴も兼ね備えている。
【従来の課題と解決方法】
しかしこれまではペロブスカイト液材料のアタック性が強いために、インクを噴射するヘッドと呼ばれるパーツがすぐに壊れてしまうという致命的な問題があった。そこで弊社ではこのヘッドを強化し、様々な液を吐出できるヘッドを搭載し自在に塗布試験が行えるIJ塗布装置 PerovsJet を開発した。
その特徴は、ガラス製のシングルノズルヘッド GlassJet を搭載することで、DMFやNMPなどのアタック性が強い液にも対応可能であること。また、ノズルの目詰まり防止機能も搭載されているため、ペロブスカイト層形成に必須の低湿度下での薄膜形成においても目詰まりせず、安定した薄膜形成が可能となった。
なお、この装置を使用した受託試験や自社の液材でのサンプル作製も行っている。
【装置の特徴】
■DMF、NMPなどにも耐性を有する高耐液性ヘッド搭載
■任意の液滴量・印刷解像度設定により膜厚調整が容易
■0.5 cc以下の少量の液材でのサンプル作製実験が可能
■低湿度環境内での実験を想定した専用グローブボックス(オプション)
■2台のカメラで着滴と飛翔液滴を観察可能
■プログラマブルヒーターで塗布・乾燥工程等を制御
【用途例】
■ペロブスカイト太陽電池の試作
■ペロブスカイト液材料のインクジェット吐出評価
■有機半導体の試作
■センサーなどの微細デバイスの試作
■金属ナノインクによる回路形成
【装置本体】 PerovsJet
項目 | 仕様 |
装置構成 | 本体(XY2軸ステージ)、モニター 電装ユニット(ステージ・ヘッドコントローラー、PC内蔵) |
搭載ヘッド 種類 / 個数 | Microjet製 GlassJet ヘッド / 1個 ※粘度や吐出液滴量に応じて10種以上から選択可能 |
描画範囲 | W70 × D78 [mm] |
テーブル機能 | 吸着式加熱テーブル、基板アライメント調整機能 |
テーブル加熱温度 | 室温~105℃、温度プロファイル制御可 |
基板厚み | 最大 10 [mm] |
観察機構 | 飛翔液滴観察、テーブル観察 |
オプション | ビットマップ印刷、専用グローブボックス など |
外形寸法 | 本体 W355 × D350 × H291 [mm] 電装ユニット W325 × D440 × H335 [mm] |
本体重量 | 本体 14kg 電装ユニット 22kg |
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