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2025/10/20
【フィルム型ペロブスカイト太陽電池】積水化学ら4社、壁面設置に向けた改良工法開発を開始
積水化学工業、積水ソーラーフィルム、NTTデータ、および日軽エンジニアリングは、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を建物外壁に設置するための改良工法の開発を2025年10月から開始した。
積水化学とNTTデータは2023年よりNTT品川TWINS DATA棟外壁で行ってきた設置実証で得られた知見や課題をもとに、軽量性、および製造方法の観点から実用化を見据え、アルミ押出形材(注1)を用いた固定金物を採用した工法を開発する。さらに、壁面の施工時に発生しやすいフィルム特有の「しわ・よれ」を容易に調整する工法も検討し、意匠性も確保する。
背景
都市部における再生可能エネルギー導入は、設置場所や建物荷重の制約が大きく、従来型の太陽光パネルでは普及に限界があった。特に屋上や敷地が限られる都心部では大規模導入が難しく、郊外で発電して送電する方式が一般的であったが、送電ロスやコスト増といった課題もあった。これに対し、次世代型太陽電池であるフィルム型ペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ柔軟性が高く、外壁や窓面など都市部の既存建物にも設置可能。導入が進むことで、都心部での再エネ地産地消の促進が期待できる。
積水化学とNTTデータは国内初の外壁設置実証を進めてきたが、フィルム型であるため設置において、しわ・よれの発生、設置時間を要する、そのほか、耐風性・耐久性を高めるため固定枠の断面性能を上げる等の設計をすると重量が増えるなどの課題があった。さらに、大規模導入を見据えると、固定枠の切削加工に伴う高コスト・長納期といった課題も明らかになった。今回4社共同で、施工性、軽量性、および製造方法の観点から改良工法の開発を行う。
概要
積水化学、積水ソーラーフィルム、NTTデータ、および日軽エンジニアリングは、2025年10月から2029年3月まで、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の壁面設置に向けた改良工法の開発・検証を共同で実施。まずは現在検討している工法を適用したフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置し社会実装に向けた検証を進める。
■実証内容
・設置方法や太陽電池モジュールの固定方法の確立
・塩害地域での耐久性検証
・都心部建物での施工性検証
・アルミ加工工場での製造性検証
■新たに開発する工法の特長
・アルミ押出形材を用いた固定金物の採用により、大量生産と軽量性を両立
・壁面(垂直面)の施工時に発生しやすいフィルム型ペロブスカイト太陽電池の「しわ・よれ」を容易に調整でき、意匠性を確保
■設置予定地
・NTT品川TWINSデータ棟 東京都港区港南1丁目9-1 地上12階建/地下2階


各社の役割
積水化学、積水ソーラーフィルム:外壁への設置に際してのモジュール提供及び検討・各種性能試験への助言、固定金物製造上の課題に対しての助言
NTTデータ:フィールド提供、設置工事。外壁への設置方法の検討及び各種性能試験の実施(4社共同)。固定金物製造上の課題と施工性のギャップ調整(4社共同)
日軽エンジニアリング:固定金物の設計及び試作・各種性能試験への助言、固定金物の生産設計・製造計画の立案
今後について
4社は、2025年度中にNTT品川TWINS DATA棟でフィルム型ペロブスカイトの追加設置を行い、施工性や耐久性の検証を進める。この取り組みを通じて、社会実装に向けた課題解決を実現し、都市部での再エネ地産地消に貢献していく。2026年度以降は、日軽エンジニアリングでの製造ライン構築およびNTTデータが保有するデータセンターおよびオフィス計16棟への導入拡大に取り組む。
積水化学と積水ソーラーフィルムは、同検証を通じて、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の適用拡大による脱炭素社会実現への貢献を目指す。
NTTデータは、この取り組みを通じて、2030年度の自社データセンターのカーボンニュートラル実現を目指し、都市部の既存建物に適用可能な再エネ導入モデルを確立することで、社会全体の脱炭素化にも貢献していく(注2)。
日軽エンジニアリングは、同検証を通じて、施工性・耐久性・意匠性などの機能面をかなえつつ、脱炭素社会実現への貢献を目指す。
【注釈】
(注1) アルミを押し出し加工して成形した部材
(注2) 2040年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す新たなビジョンを策定 NTTデータグループ - NTT DATA GROUP
*その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標
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