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2025/9/10

【ペロブスカイト太陽電池】NEDO、GI基金事業でリコー、パナソニック ホールディングス、エネコートテクノロジーズの3件を新規採択

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、グリーンイノベーション(GI)基金事業「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトの「次世代型太陽電池実証事業」において追加公募を行い、ペロブスカイト太陽電池(PSCs)の量産技術開発とユーザーと連携したフィールド実証を行う研究テーマを、新たに3件採択した。
 第7次エネルギー基本計画に挙げられた2040年までに20GWの導入目標の実現に向け、2030年度までに200MW~300MW以上の規模の量産化構想を有する企業3社を採択した。量産技術の開発を加速するとともにユーザーと連携したフィールド実証を行う。これによりPSCsの早期の社会実装を図るとともに、日本の太陽光発電産業の競争力強化を目指す。

グリーンイノベーション基金事業について
 日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を全体としてゼロにする目標を掲げた。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するにはエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど、現行の取り組みを大きく加速させる必要がある。このため、経済産業省はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するGI基金事業を立ち上げました。同基金事業はグリーン成長戦略※1で実行計画を策定している重点分野を支援対象としている。また、令和4年度第2次補正予算により3000億円が積み増しされており、令和5年度当初予算により4564億円が積み増しされた。
 なお、NEDOは同基金事業の取り組みや関連技術の動向などをわかりやすく伝えていくために、「グリーンイノベーション基金事業 特設サイト」を公開している。

プロジェクトの背景
 グリーンイノベーション基金事業「次世代型太陽電池の開発」プロジェクでは、シリコン系太陽電池に対抗しうる次世代型太陽電池として有望視されるPSCsの開発・製品化・市場開拓を早期かつ着実に進めるため、産学官の連携した開発体制を構築し、太陽電池の性能向上と実用化レベルの大型化を実現するための技術開発を進めてきた。今回の研究開発内容「次世代型太陽電池実証事業」では、品質を安定させつつ大量生産を可能とするための量産技術の開発と、国内外の市場を想定したフィールド実証を並行して実施する。これにより発電コスト14円/kWhの達成とPSCsの早期の社会実装を図るとともに、日本の太陽光発電産業の国際競争力強化を目指す。

事業内容と採択テーマ・採択予定先
事業名:グリーンイノベーション基金事業/次世代型太陽電池の開発/次世代型太陽電池実証事業
予 算:378億円(NEDO支援規模)
期 間:2024年度~2030年度(7年間)
事業概要:品質を安定させつつ大量生産可能な量産技術の確立に向け、一連の生産プロセス(ライン)として高いスループット※2や高い歩留まりを実現する技術開発を行う。例えば、ロール・ツー・ロール(R2R)方式の製造に適した材料、製造装置と製造プロセスの開発とその検証、および改善点を抽出してのフィードバックなどを通じて、量産技術の確立に取り組む。
 また量産技術の確立と並行して、PSCsの特徴を活かした設置方法や施工方法などを含めた性能検証のため、耐荷重の小さい屋根やビル壁面への設置など国内外の市場を想定して海外を含めたフィールド実証(建築物などの実用箇所への施工、運用試験)を行い、必要に応じて検証結果を踏まえた改良を行うことで、PSCsの実用化を促進する。

※1 グリーン成長戦略
 日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、2021年6月18日、経済産業省が関係省庁と連携して、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定した。
※2 スループット
 単位時間当たりに処理できる作業量であり、ここでは単位時間当たりの生産量の意味。

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