アーカイブ情報
2024/12/5
【ポリエステル繊維製品】良品計画と帝人フロンティア、 完全循環型リサイクルプロジェクトを共同で開始
無印良品を展開する良品計画と、帝人フロンティアは、このほど、資源循環型・持続可能な社会の実現を目的とした合意書を締結し、回収したポリエステル繊維製品を資源として循環させていくシステムの構築に向けたプロジェクトを開始する。
今回の取り組みは、無印良品の商品開発力とリユース事業を基盤とした衣料品回収の知見に加え、帝人フロンティアが長年培ってきたポリエステルのリサイクル技術を活用し、両社協業でのポリエステル繊維製品回収からケミカルリサイクルによる資源循環を進めることで、繊維製品をごみにせず資源として再利用するシステムの構築を目指すもの。
今回の取り組みを始めとして、カーボンニュートラルに向けた繊維製品のサーキュラーシステム構築と、繊維製品の廃棄「ゼロ」の実現を目指す。
背景
良品計画は、「感じ良い暮らしと社会」の実現に向けて、生活の基本を支える商品・サービスを提供しており、1980年の誕生以来、3つの視点「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」を守りながら商品をつくり続けている。「資源を無駄にしない」という考えのもと、服の生地を裁断する際に発生した端切れなど、一般的には廃棄される部分を糸に再生し、生地化して商品にしたり、フリース素材を洗濯する際に流れ出るマイクロプラスチックなどに対応するために、繊維くずを通しにくい洗濯ネット「高密度織繊維くずを通しにくい洗濯ネット」を開発・販売するなど、環境への負荷軽減に配慮した商品や資源循環型・自然共生型の商品を継続的に開発している。そして、商品開発だけでなく、衣料品を中心とした繊維製品の店頭回収を2010年から開始し、2015年からは店頭で回収した衣料品を染め直しなどの手を加えて再販売するリユース事業「ReMUJI(リムジ)」を展開している。
さらに、繊維から繊維へのリサイクルが難しいことのひとつとして、製品における素材の複合化が挙げられることから、“易リサイクル商品設計”をコンセプトとした商品群として、生地や製品に使用する附属品、縫製糸に至るまで全てポリエステル100%原料を使用した商品「素材に還る フリースカーディガン」紳士・婦人・キッズの合計5アイテムを2024年9月下旬から、寝具では「再生ポリエステルあたたかファイバー薄手毛布」などを10月中旬から順次、無印良品の一部店舗とネットストアで発売している。
これらの商品開発や活動を通して、石油由来原料の使用量削減や環境への負荷軽減に努めてきたが、さらに、限りある資源が無理なく循環していく未来へ向けて、これらの商品を購入者が使い終わった後に、リユースなどの再利用ができない繊維製品についても、再資源化することを目指していた。
一方、帝人フロンティアは、1995年からリサイクルポリエステル繊維「ECOPET」の販売を開始し、その後、環境負荷の低減に資することや、これまで実現が難しかったポリエステル衣料品からポリウレタン弾性繊維を除去することなど、長年にわたりポリエステルのリサイクル技術を磨いてきた。さらに、実社会で衣料品を資源として循環させるために、使用済みポリエステル繊維製品を回収し、ケミカルリサイクルによってポリエステル繊維に戻し、再び繊維製品として販売するという仕組み作りの検証を開始し、さらなる幅広い仕組み構築を目標としていた。
国内では手放された後の多くの衣類が有効利用されず埋め立て・焼却処分されている現状が社会課題となっている中で、それら社会課題を解決して資源循環型・持続可能な社会を実現させるという両社の目指す方向が合致することから、両社協業にて素材開発から商品開発、販売、回収、リサイクルまでを一連とした共同プロジェクトを立ち上げ、それぞれの強みを活かして積極的に推進していくことにした。
今回の取り組みについて
良品計画は、店頭で使用済み繊維製品を回収し、引き続きリユースの取り組みを拡大していきながら、リユースできないポリエステル繊維製品を分別する。また、全ての素材を単一化してリサイクル時の分解・分離工程をなくす“易リサイクル商品設計”をコンセプトとした商品群の開発を24年秋冬シーズンから拡大する。
帝人フロンティアは、リユースできないポリエステル繊維製品や製造時のプレコンシューマ繊維を、独自のケミカルリサイクルを活用してリサイクルポリエステル原料へと再資源化する。
これらの取り組みにより、使うだけでなく使い終わった後のことを考えた“易リサイクル商品設計”の推進や、リサイクル技術開発による資源循環が可能な素材の拡大など、両社の知見・ノウハウを活かすことで繊維から繊維への水平リサイクルに向けての
様々なアクションを高いレベルで実現することを目指す。
今後の展開
回収した繊維製品からリサイクルされたポリエステル原料を用いて、新たな商品開発を検討していく。それらにも資源循環しやすい“易リサイクル商品設計”を取り入れることで、サーキュラーエコノミーシステム構築を目指す。
また、今後、パートナー企業や国内外の企業、地方自治体などとコンソーシアムを立ち上げて実証実験などを行っていくことで、資源循環型・持続可能な社会の実現に向けての実行力を上げていく。
- カテゴリー
- コンバーティングニュース