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2024/11/19

【マイクロチップ電気泳動システム】島津製作所、「MultiNAⅡ MCE-301」発売

 島津製作所は11月19日にマイクロチップ電気泳動システム「MultiNAⅡ MCE-301」を国内で発売した。手作業で2時間以上かかる電気泳動の全工程(ゲルの作製、試薬の分注、泳動、分離、染色、器具の洗浄)を自動化することで、遺伝子解析業務を効率化する。同製品は「MCE-202 MultiNA」(2007年発売)の後継機種で、RNAの劣化状態を示す指標の算出や、専用の試薬キットによる高感度検出を実現した。「高感度・高精度の多検体全自動分析」という強みを踏襲しつつ、分析中のサンプル追加機能やサンプルの希釈機能を搭載。医学・農学・薬学・理学・工学に関わる大学・研究機関、受託検査会社、食品メーカーなどに同製品を販売していく。
 マイクロチップ電気泳動システムとは、微小流路と電極パターンが形成された石英基板(マイクロチップ)を用いて電気泳動を行い、DNA/RNAをサイズ(鎖長)によって分離するシステム。ゲノム編集での変異確認、次世代シーケンサ(NGS)のサンプルの品質チェックやジェノタイピング(遺伝子型判定)などに利用されており、基礎研究以外でも病原体やアレルギー物質の検出などでも使われる。特にNGSは世界市場において二桁成長を続ける遺伝子解析に欠かせない。ゲノム編集は医薬品や機能性食品の研究開発にも用いられており、これらの関連技術の市場規模も年率20%近く伸びてきした。
 島津製作所は同製品を、第47回日本分子生物学会年会(2024年11月27~29日、福岡国際会議場)で展示する予定。また、来年以降に海外発売も計画しており、ゲノム編集技術の普及・革新を後押しすることで、重点領域であるヘルスケアやGX分野の研究の進展に貢献していく。
※ 主に核酸やタンパク質の分離に用いられる分析手法。核酸やタンパク質に電圧をかけると分子量や電荷の違いにより移動度が異なることを利用して、分析対象をサイズで分離できる。
 「MultiNAⅡ MCE-301」の特長は次の通り。
(1)自動化によるワークフローの改善
 サンプルの登録、試薬とサンプルのセット、スタートボタンを押すだけで全自動分析が開始できる。分析開始までの所要時間はわずか10分で、作業時間を削減できる。従来機種では全サンプルの分析完了までサンプルを追加できなかったが、今回の製品では分析中に追加できるように改良。濃度の濃いサンプルを分析する場合、従来は手作業だった希釈作業を、装置内に追加した自動希釈機能が実行する。
(2)進化した解析機能と検出能力
 RNAの劣化状態を示す指標(RII:RNA Integrity Index)を算出できる。これにより、RNA試料の品質の定量的な評価が可能。さらに、DNA分析に対する新機能として、標的DNAの有無を自動判定する「フィンガープリンティング機能」、解析結果に応じてサンプルを分類する「グルーピング解析機能」を追加。従来機種では0.2ng/µLであったDNA分析に対する検出感度を、試薬キット(別売り)を使用することで5pg/uLに高めた。
(3)電力消費を従来比70%、純水消費を60%へと削減
 従来機種より電力消費を70%に削減。純水の消費量も同60%に抑え、廃液による環境負荷を低減する。装置の設置面積は85%、高さは73%へと小型化しており、実験台にも載せられる。
 販売希望価格は580万円(税抜き)、発売後1年間で100台(国内)の販売を目指す。

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