アーカイブ情報
2025/3/26
【モノマテリアルフィルム】住友ベークライト、単一素材で構成されリサイクルが容易な医療機器包装用フィルムを開発
住友ベークライトは、同社が保有する樹脂配合・共押出多層フィルム加工技術を活かし、ポリエチレン系単一素材で構成されたモノマテリアルフィルムを開発した。今般開発を完了し、リサイクルが容易な包装材として、医療機器包装向けに2025年度中の量産、販売開始を目指している。

背景
近年、気候変動や資源の枯渇といった環境問題への対応が必要となっており、このような状況下で包装廃棄物削減の取り組みの一つとして、リサイクル可能な包装材へのニーズが高まっている。
現在、幅広く使われている異素材の複合フィルムは、異なる素材を層状に組み合わせることで、軽量化や高い強度、防湿性、保存性などの優れた機能を実現している。しかし、異素材が複雑に組み合わされているため、それぞれの素材を分離することが難しく、リサイクルが非常に困難とされている。その結果、廃棄物として処理される際には、焼却処理となるケースが多く、これにより二酸化炭素(CO2)やその他の温室効果ガスが排出されるという環境負荷の増大が問題視されている。
これらの課題に対処するためには、企業や消費者が連携し、資源の効率的な利用や廃棄物の最小化を目指したサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現が不可欠である。欧州ではすでに政府や国際機関による規制やガイドラインが整備されつつあり、プラスチック廃棄物削減やリサイクル率向上を目指した具体的な政策が進められている。
医療機器用包装材料 スミライト CEL
ポリエチレン・モノマテリアル フィルム・シート
同社は、この市場の要求に対し、単一素材でありながら、包装材に求められる強度や成形性を十分に有するフィルムの開発を進めてた。長年にわたる共押出多層フィルム加工の技術を活かし、フィルムをポリエチレン系単一素材による構成にすることで、リサイクル性を向上させながら、開発のターゲットである医療機器包装で重視される耐熱性・易剥離性・耐ピンホール性・熱成形性を備えたモノマテリアルフィルムを開発した。
ユーザーは、現在使用している異素材複合フィルムと同じ使用環境のまま、モノマテリアル フィルムを使うことができ、医療機器包装のリサイクル化による環境負荷の低減を実現できる。
同製品は2024年に開発を完了しており、現在、医療機器メーカー、医療機器包装材メーカーへの紹介を進めている。2025年度中の量産、販売開始を計画している。
製品の特長
●ポリエチレン系単一素材の構成により、使用後は素材単位に分離する必要が無く、リサイクルに適している
●特性の異なるポリエチレン系素材を組み合わせ、従来の複合素材製品と同等以上の特性を有している



仕様

- カテゴリー
- コンバーティングプロダクツ&テクノロジー