アーカイブ情報

2024/5/24

【モールド離型フィルム】東レ、先端半導体向けPFASフリーを実用化。モールド工程の金型汚れ1/5以下

 東レは、先端半導体向けPFAS*1フリーのモールド離型フィルムを実用化した。同フィルムは、欧州等で規制が検討されている有機フッ素化合物を含まない材料から成り、モールド工程でみられる課題であった金型汚れを1/5以下に抑制することで最先端の半導体製造の稼働率向上に貢献する。
 半導体は生活に欠かせない電子部品であり、自動車、スマートフォン、PC・サーバーなど様々な用途に使用されている。近年、5G通信、生成AI、自動運転、遠隔医療、などの未来社会実装に向けて半導体の技術革新は、前工程のウェハプロセスのナノ超微細化だけでなく、後工程の半導体パッケージングプロセスに注目が集まっている。
 半導体パッケージングプロセスとはICチップを外部環境から保護し、端子間を接続するために電気的にパッケージするプロセスのことであり、この中で外部からの保護目的でモールド樹脂を覆う工程をモールド工程と言う。このモールド工程では金型汚染防止のため、モールド樹脂と金型の間に離型フィルムを用いるが、最先端の半導体ではモールド樹脂等の起因による金型汚れや、先端半導体のモールド形状の複雑化に伴い、モールド成形時の離型フィルム破れ、離型フィルムのシワのモールド樹脂への転写といった課題が顕在化してきている。
 これらの課題に対して、東レは独自のNANOALLOY®(ナノアロイ®)*2技術によってガスバリア性と耐熱柔軟性を備えたモールド離型フィルムを開発した。ガスバリア性により金型汚れの原因物質を遮断することで金型汚れを従来比1/5以下まで抑制し、また耐熱柔軟性によりモールド成形時のフィルム破れとシワの転写を抑制することに成功した。
 さらに従来の離型フィルムはPFAS材料が使用されているが、東レが開発した半導体モールド離型フィルムは、環境に配慮したPFASフリー材料。同フィルムは、半導体製造の稼働率向上に寄与することを実証し、昨年からその量産体制を構築するとともに販売を開始している。
*1 PFAS
 PFASとは、人工的に作られた有機フッ素化合物(ペルフルオロアルキル化合物、ポリフルオロアルキル化合物及びこれらの塩類)の総称。難分解性をもつPFASは、環境への流出量を抑制するため欧州で規制が検討されている。
*2 NANOALLOY®(ナノアロイ®)
 複数のポリマーをナノメートルオーダーで混合させることで、従来材料と比較して飛躍的な特性向上を発現させることができる東レ独自の革新的微細構造制御技術。

カテゴリー
コンバーティングプロダクツ&テクノロジー

PAGE TOP