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2024/4/17
【リサイクルPVC】大日本印刷、プラスチック部分を100%リサイクル材にしたICカードの提供開始
大日本印刷(DNP)は、循環型社会の実現に向けて、非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分全体をリサイクルPVC(ポリ塩化ビニル)で製造することを可能にした*1。本製品の販売を2024年4月に開始する。
プラスチック部分全体をリサイクル材にしたICカードの開発背景
DNPは、国内製造シェアでトップを獲得しているICカードについて、環境に配慮した原材料の使用などを進めており、その一環で2021年には、リサイクルPVCを一部に使用した非接触対応ICクレジットカードの製造を開始した。PVCは世界的に最も一般的に使われているカード基材であり、リサイクルPVCのCO₂排出量削減効果も比較的高いため、今回、リサイクル材の使用比率を極限まで高めた非接触対応ICクレジットカードを環境に配慮した製品のラインアップ*2に追加した。DNPは本製品の提供により、プラスチックの一層のリサイクル推進やCO₂排出量の削減を実現し、環境負荷の低減につなげていく。
本製品の特長
1.非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分を、全てリサイクルPVCで製造。
2.カード用リサイクルPVCを提供するサプライヤーと連携し、パッケージ工場で排出されるPVCの廃材・中間材を回収して加工したリサイクル材を使ってカードを製造。
3.従来、プラスチック部分を全てリサイクル材で製造することは材料の特性上困難であったが、今回、ICカードの設計に工夫を施すことによって、プラスチック部分を全てリサイクル材に置き換えることを実現。
4.DNPは、自社製品のカーボンフットプリント*3を算定・検証するシステムにおいて、サステナブル経営推進機構の「SuMPO/第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度」の認証を取得。2024年4月から、ICカード・ビジネスフォームを含む「証券印刷物」にあたる本製品でも、信頼性の高いカーボンフットプリントデータの提供が可能になった*4。
5.カード基材にリサイクルPVCを100%使用することで、DNPで製造したリサイクルPVCを使用しない従来品との比較において、原材料調達から製造・輸送・廃棄までのライフサイクル全体でカード1枚当たり約19.5gのCO₂排出量を削減する効果がある。
6.本製品は、カード基材としてのVISA認定を取得。
本製品の価格
本製品は、リサイクルPVCを利用しない従来のカードと比較して、5~10%程度の価格上昇を目処として提供していく予定。価格は仕様や数量によって変動する。
今後の展開
DNPは、環境負荷の低減や循環型社会の実現に取り組む金融機関のほか、電子マネーカードやポイントカード、会員証等を発行する事業者などに本製品を提供していく。また、カーボンフットプリントや、植林や森林保護等の取り組みを通じて企業活動で排出するCO₂を直接・間接に吸収するカーボンオフセットと組み合わせて本製品を提供するなど、一層の環境配慮施策についても提案していく。DNPは、環境配慮型のICカード関連で、2028年度までに累計約400億円の売上を目指す。
*1 チップ等の金属部分も含めたカード全体の重量比でのリサイクル材使用比率は、約93%になる。
*2 環境に配慮したDNPのICカードの製品ラインアップについて
・リサイクルPVCカード
・リサイクルPCT-Gカード
・バイオマスカード
*3 カーボンフットプリント:製品のライフサイクル(原材料調達、生産、流通・販売、使用・維持管理、廃棄・リサイクル)における温室効果ガス(GHG)排出量をCO₂量に換算し表示するもの。
*4 カーボンフットプリント算定システムの第三者認証の取得範囲を拡大
なお、この認証制度は算定・検証の仕組みの妥当性を認証するものであり、算定結果に対する認証ではない。
* DNPグループ環境ビジョン2050
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