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2026/1/8
【ロボット】国際ロボット連盟、2026年の5大トレンド発表

<2026年1月8日、フランクフルト発>産業用ロボット設備の世界の市場価値は、過去最高となる167億ドルにすでに到達している。数多くの技術革新、市場要因、新たな事業分野により、将来的に需要はさらに高まる見込み。国際ロボット連盟(IFR)が、2026年に向けてロボット産業における主なトレンド、トップ5を発表した。
(1)ロボットにおけるAIと自律化
人工知能(AI)を活用して自律的に作業するロボットの活躍は、ますます広く見られるようになっている。こうした流れにおいてAIがもたらす最大の利点として、ロボットの自律化増大が挙げられる。このトレンドを支えているAIには、いくつかの種類が存在する。分析型AI(Analytical AI)は、大量のデータを処理し、パターンを検出し、実用的な知見をもたらす。このおかげで、たとえばスマートファクトリーでは故障を事前に予測したり、物流の分野では物流経路の計画策定やリソースの配分などをロボットが自律的に行うことが可能となる。
一方、生成AI(Generative AI)は、ルールベースの自動化から、知的で自己進化するシステムへの転換を示唆するもの。生成AIは新しいアウトプットを生み出し、ロボットが新しいタスクを自律的に習得したり、シミュレーションを通じて学習用データを生成したりすることを可能にする。また、これにより、自然言語や視覚情報を用いた指示による人間とロボットの新たな協働が実現する。
ロボットの自律性をさらに発展させる重要なトレンドが、エージェント型AI(Agentic AI)。この技術は、構造化された意思決定を行う分析型AIと、柔軟性をもたらす生成AIを組み合わせたもの。このハイブリッドなアプローチで、現代のロボットが実世界の複雑な環境においても、より自律性を持って作業するようになることを目指している。
(2)ITとOTの融合により、ロボットの汎用性が向上
汎用性の高いロボットの需要は急速に拡大している。直接的な理由として、情報技術(IT)とオペレーショナルテクノロジー(OT)の融合が市場から強く求められてことが挙げられる。ITのデータ処理能力とOTの物理的制御能力を統合することで、リアルタイムのデータ交換、自動化、高度な分析を通じたロボットの汎用性が高まる。この統合は、デジタルエンタープライズとインダストリー4.0の基盤となる要素。ITとOTの融合により、これまで分断されていた領域の壁が取り払われ、デジタルの世界と物理的な世界の間にシームレスなデータの流れが生まれ、ロボットの能力と汎用性が大幅に強化される。
(3)信頼性と効率性の実証が鍵となるヒューマノイドロボット
ヒューマノイドロボットの分野は急速に拡大している。産業用途ヒューマノイドロボットは、特に人間に向けて設計された環境での柔軟性が求められる場面において、有望な技術として注目されている。自動車産業が先駆けとなり、現在、倉庫業務や製造業務における応用が世界的に注目されている。
今日では、企業や研究者たちはすでに試作段階を終え、ヒューマノイドロボットを実環境へ導入する段階へと移行している。成功の鍵となるのは、信頼性と効率性。従来の自動化技術と競争するためには、ヒューマノイドロボットがサイクル時間、エネルギー消費、保守コストといった点で、高い産業要件を満たす必要がある。また、産業基準には、工場現場でヒューマノイドロボットに求められる安全レベル、耐久性基準、一貫した性能などが定められている。人手不足を補うことを目的としたヒューマノイドロボットは、人間レベルの器用さと生産性を達成する必要があり、これらは実世界における効率性を証明するための重要な指標となる。
(4)ロボットにおける安全性とセキュリティ
ロボットが工場やサービスの現場で人間と共に作業する機会が増える中、安全な動作の確保はもはや重要であるだけでなく、ロボット産業にとって不可欠な要件となっている。AIによる自律化は安全性の前提を根本的に変えており、試験、検証、人間による監視という作業はより複雑さを増す一方、これまで以上に重要性が高まっている。これは、ヒューマノイドロボットの利用を想定した場合に特に顕著。ロボットシステムは、ISO安全規格と明確に定義された責任(リスク)分担の枠組みに基づいて設計および認証される必要がある。
ロボットにおけるAIやITとOTの融合という流れの中で、安全性とセキュリティに関してさまざまな課題が生じており、強固なガバナンスと明確な責任の所在が求められている。クラウド接続型、かつAI駆動型の環境へロボットシステムの進出が急速に拡大することで、工業生産は増大するサイバーセキュリティ上の脅威により一層さらされている。専門家たちは、不正なアクセスやシステム操作を可能にする、ロボット制御装置やクラウドプラットフォームを標的としたハッキングの増加を指摘している。また、ロボットが職場にますます導入されるにつれ、映像、音声、センサーデータなど、ロボットが収集する機密データへの懸念も高まっている。しばしば「ブラックボックス」と呼ばれるディープラーニングモデルは、開発者自身でさえ説明するのが困難、あるいは不可能な結果を生み出すことがある。こうした責任の所在をめぐる法的および倫理的な不透明さを背景に、AIの導入を統治するための明確な枠組みを求める声が高まっている。
(5)労働力不足に取り組む「味方」としてのロボット
世界中の雇用主が、必要とされる専門的スキルを持つ人材の確保に苦慮している。こうした人材不足は、既存の従業員が追加のシフトを担うことにつながり、あらゆる業界でストレスや疲労の増大を招いている。この課題に対処するための重要な戦略の1つが、ロボットと自動化の導入。この変革プロセスにおいて、雇用主は人間の労働力を巻き込むことで大きなメリットを得ることができる。ロボットの導入において従業員との密接な協力を図ることは、受容性を確保する上で極めて重要。このことは、工業生産の現場だけでなく、さまざまなサービス分野においても同様。労働力不足への対応、単純作業の代替、あるいは新たなキャリア機会の創出といったロボットがもたらす利点により、ロボットは職場で協働するパートナーとして受け入れられるであろう。同時に、ロボットは若者にとって職場をより魅力的なものにする1つの手段ともなる。企業や政府は、変わりゆくスキルの需要に労働者が対応し、自動化主導の経済において競争力を維持できるよう、スキルの習得や再教育のプログラムを推進している。
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