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2025/8/20

【人工芝】住友ゴム工業、選手のプレーに着目して性能を追求したロングパイル人工芝が筑波大学との共同研究から実装段階へ

 住友ゴム工業は、筑波大学体育系 小井土正亮准教授との共同研究に基づき、サッカー選手のプレーに着目して性能を追求した新たなロングパイル人工芝の開発を開始した。「サッカープレーヤーが良いと感じる人工芝のプレー性能の明確化」と題した共同研究の結果については、2025年3月に開催された日本フットボール学会22nd Congressにて報告された。これまで選手のプレーに着目した人工芝研究はほとんど行われておらず、同研究は選手の競技環境の質を高める新たな取り組みとして注目されている。同社はこの研究結果をもとに、人工芝の各種特性の中から、選手のプレーに深く関わる要素を「プレー性能」と定義。選手のパフォーマンス発揮を支える優れたプレー性能を備えた人工芝の新製品を、年内に発売する予定。

写真左:住友ゴム 執行役員 ハイブリッド事業本部長 松本達治
写真右:筑波大学 体育系 准教授 小井土正亮氏 (蹴球部監督)

【同研究の背景】

 2000年以降、ロングパイル人工芝ピッチ※1、2は競技場や教育施設を中心に普及が進み、現在では国内での施工実績が延べ4,500件※3を超えている。これまで多くのスター選手を輩出してきた関東大学サッカーリーグでは、2024年からホーム&アウェイ制が採用され、9割以上の試合※4が人工芝ピッチで開催された。人工芝ピッチは、天候の影響を受けにくく、年間を通じて安定して使用できることから、日本のサッカー界の発展に欠かせない存在となっている。一方で、人工芝ピッチは、種類や品質などによってグラウンドのコンディションに差が生じるため、選手の身体的負荷の増加やプレー性能のばらつきといった課題も指摘されている。

 同研究は、選手が良好な環境で日々のトレーニングや試合に臨めるよう、選手が重視するプレー性能や身体への負荷と人工芝の力学的特性との相関関係を明らかにすることを目的に行われた。

 

【同研究の内容】

 同研究では、選手のプレーのしやすさ(感性)と人工芝ピッチの力学的特性(物理的特性)との関係を解明するため、「感性工学」手法が採用された。具体的には、関東大学サッカーリーグ1部から3部に所属する大学のうち、36校延べ1973人の選手にアンケートを実施。同サッカーリーグで使用される関東の47会場について感性評価を実施するとともに、一部の会場ではグラウンドの力学的特性を調査し、感性評価との相関関係を明らかにした。結果は以下の通り。

・全プレーヤー、1部所属プレーヤーともに「ショートパス」「切り返し」を重視。中でも1部所属プレーヤーは「切り返し」を特に重視

・充填層が厚く、ボールが転がりにくいほどテクニック(ショートパス、ロングパス、シュート)が発揮されやすくなる傾向が見られた

 同研究の結果は、2025年3月8日、9日に開催された「日本フットボール学会22nd Congress」にて報告された。1000件以上の選手アンケートに基づく感性評価と、人工芝ピッチの力学的特性を結び付けた同研究は国内初※5の試み。同社は、同研究は同社が日本のスポーツ用人工芝市場で長年にわたり培ってきた技術力に、筑波大学が蓄積してきたスポーツ科学の知見を融合させた成果であるとしている。

 同社は同研究に基づき、選手が安全にプレーでき、身体への負担を軽減しながらパフォーマンスを発揮できる優れたプレー性能を備えた人工芝の仕様設計と開発を進めている。また、今後もプレーヤーの視点を大切にしながら、スポーツ界の発展に貢献する人工芝の開発に取り組んでいく。さらに、サステナビリティ経営の一環として、環境に配慮した製品づくりにも一層注力する。

【住友ゴムのロングパイル人工芝について】

 同社のロングパイル人工芝「ハイブリッドターフ」は2000年に販売を開始。同年には同社が日本で初めてフルピッチのサッカー場を人工芝で施工。以降、累計施工面積は850万㎡の実績を誇る。これまで培ってきた製品およびフィールド評価に関する知見と技術力を活かし、今年で発売25周年を迎える。

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