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2024/11/7

【令和6年度東北地方発明表彰】セイコーエプソンとエプソンアトミックス、アモルファス軟磁性合金粉末で「文部科学大臣賞」受賞

 セイコーエプソン(以下 エプソン)およびグループ会社であるエプソンアトミックスは、このたび令和6年度東北地方発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)において、『アモルファス軟磁性合金粉末(特許第6123336号)』の発明が、地方発明表彰の最高賞である「文部科学大臣賞」を受賞した。東北地方発明表彰におけるエプソングループの受賞は初めて。なお、エプソングループが地方発明表彰にて同賞を受賞したのは今回が5回目。
 表彰式は、2024年11月6日にウェディングプラザ アラスカ(青森県青森市)にて開催された。

「文部科学大臣賞」受賞者:写真左 大塚 勇 氏/ 写真右 大高啓義 氏

 大正10年に始まった地方発明表彰は、全国を8地方(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)に分け、それぞれの地方において優れた発明、考案または意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰する制度。
 今回、東北地方発明表彰「文部科学大臣賞」を受賞した発明は、Feを主成分としたアモルファス軟磁性合金粉末で、その保磁力・平均粒径・タップ密度を最適化することによって、当該合金粉末を成形した磁心を有する磁性素子において、高飽和磁束密度※1と低鉄損(低ヒステリシス損・渦電流損)※2を両立したことが評価された。
 本発明を用いた磁性素子は、高周波化・大電流化制御が必要な携帯電話や電気自動車などの高機能電子機器において、低消費電力化・電気回路の小型・薄型化を実現する必須部品となり、環境負荷の低減に貢献している。
 受賞および受賞者は次の通り。
<文部科学大臣賞>
 大高啓義(おおたか ひろよし)氏(エプソンアトミックス 粉末第一製造部 粉末製造技術課)
<実施功績賞>
 小川恭範(おがわ やすのり)氏(セイコーエプソン代表取締役社長)
 大塚 勇(おおつか いさむ)氏(エプソンアトミックス代表取締役社長)
■エプソンアトミックス アモルファス軟磁性合金粉末について
 エプソンアトミックスは、自動車、スマートフォン、ウェアラブル機器、医療機器などにおける、さまざまな高機能部品の原材料となるアモルファス軟磁性合金粉末を独自の SWAP®(Spinning Water Atomization Process)法※3で2004年に世界で初めて量産化に成功した。
 原子が規則正しく並んだ通常(結晶構造)の合金に対してアモルファス合金は原子が不規則に詰まった構造のため、優れた高周波特性に加え、高い磁束密度と低いエネルギー損失の特長から、電圧制御部品の低消費電力・小型化、高周波・大電流対応などの性能を向上させる高機能材料粉末として、高い評価を受け、その需要は年々高まっている。

 詳細はエプソンアトミックスのホームページを参照。
※1 高飽和磁束密度
 磁性体が磁気飽和したときの磁束密度(単位面積当たりの磁束の量)が高い状態。この状態では多くの磁気エネルギーを蓄積することができるため、大電流化と小型化した素子の実現が可能で、その変換効率・耐久性を高めることができる。
※2 低鉄損(低ヒステリシス損・渦電流損)
 ヒステリシス損:磁性材料の鉄心(コア)を持つインダクターや変圧器などのコイルにおいて、鉄心の磁区が交流によって磁界の向きを変える時に失われる電気エネルギーの損失。
 渦電流損:鉄心の中に生じる渦電流によって生じる損失。高周波になるほど渦電流損の比率が大きくなる。
※3 SWAP®(Spinning Water Atomization Process)法
 SWAP®法はアモルファス合金の量産を実現するエプソンアトミックス独自の合金粉末製造法。高周波炉で溶解させた合金をガス分断し、高速回転する水流で毎秒数十万℃もの超急速冷却をすることで、アモルファス(非晶質)状態の合金粉末を製造する。

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