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2024/11/7
【使用済みLiB】豊田中央研究所とトヨタ自動車、溶液の注入による容量回復を確認
豊田中央研究所とトヨタ自動車は、回復剤を注入する方法で、使用済みリチウムイオン二次電池(LiB)の容量を回復させる技術を開発した。
この技術は、容量回復後のサイクル劣化(充放電の繰り返しによる容量の低下[※注1])も、ほぼ見られないことから、LiBを解体することなくそのままの利用が可能となるため、これまではリサイクルの対象となっていた使用済みLiBのリユース促進が期待される。
この研究成果は、Cell Pressの論文誌Jouleに2024年3月8日付でオンライン掲載された。豊田中央研究所はこの技術の詳細を、11月21日に第65回電池討論会において発表する。
<研究のポイント>
・リチウムナフタレニド溶液[※注2]と高誘電率溶媒[※注3]の混合溶液が、容量が低下したLiBにリチウムイオンと電子を補充して容量を回復する効果があることを発見。
・理論計算と機械学習を組み合わせて容量回復のメカニズムを解明するとともに、混合溶液の最適な電位[※注4]条件を検討。
・実験用のLiBにて、容量の回復とその持続効果を試験的に検証。注入前の容量に対して20~25%程度回復し、充放電を100サイクル繰り返しても、サイクル劣化がほぼ生じないことを確認。さらに車載用サイズの中古電池においても、本手法による容量回復効果を試験的に確認。
<論文情報>
タイトル:Direct Capacity Regeneration for Spent Li-ion Batteries
掲載誌:Joule
著者:荻原信宏*1、永谷勝彦*2、山口裕之*2、近藤康仁*1、山田由香*1、堀場貴裕*1、馬場健*2、大庭伸子*1、駒形将吾*1、青木良文*1、近藤広規*1、佐々木厳*1、岡山忍*2*3
*1:豊田中央研究所 *2:トヨタ自動車 *3:プライム プラネット エナジー&ソリューションズ株式会社
DOI:https://doi.org/10.1016/j.joule.2024.02.010
注1)LiBの容量低下
LiBの充電時に、主に黒鉛負極表面でおこる電子移動を伴う副反応によって動けるLiイオンが消費され、結果として電池の容量が徐々に減っていく現象。
注2)リチウムナフタレニド溶液
Li金属とナフタレンを混合した溶液。ナフタレンはリチウムから正極への電子移動を媒介する。
注3)高誘電率溶媒
イオンや分子を安定に溶解する溶媒。高誘電率ほど溶解度が高くなる傾向を示す。
注4)電位
電荷が持つ位置エネルギーの大きさで、電気化学反応の方向や速さを決定する。
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