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2024/10/29

【光学フィルム】デンカ、米スタートアップ企業Ares Materialsへ出資

 デンカは、ペガサス・テック・ベンチャーズと共同で運営するCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンドを通じて、エン・チオール(*1)系光学フィルムを開発するスタートアップ企業のAres Materials Inc.(本社 : 米国テキサス州ダラス、CEO : Arreaga David、以下、Ares Materials社)へ出資した。
 Ares Materials社はエン・チオールを原料としたマテリアルズ・インフォマティクス(*2)の設計デザインを開発し、それを利用して高性能な光学フィルムを生産する技術を保有しており、デンカは、同社と協業の検討を進めてきました。同社の保有する光学フィルム製造技術は、有機溶剤や熱を使用しない独自のUV硬化プロセスで、かつ原料にはPFAS(*3)を一切含有しないため、環境負荷の低減やCO2排出の削減に貢献し、低コストと光学特性を両立した光学フィルムを生産できる。
 デンカは、Ares Materials社への出資を通じて、デンカ独自の技術であるエン・チオール系接着剤「ハードロックOPシリーズ」と同社の光学フィルムとの併用によるディスプレイの表示性能の向上に向けた共同開発、ならびに市場開拓で連携を図り、フレキシブルディスプレイ分野での社会実装を目指す。
 デンカは、経営計画「Mission 2030」に基づき、世界各国の最先端技術を持つスタートアップ企業への出資や提携を行うことで新規事業創出を推進するために、昨年1月にCVCファンドを設立しました。CVCを通じた取り組みとして、2030年度までに最大で約1億米ドルの投資を計画している。

(*1)エン・チオール反応
チオール(R-SH)およびアルケン(C=C-R)間の反応を指すさまざまな機能をもつ分子を合成するときに、複雑な化学合成法を使わなくても簡単に分子同士を結合させる方法として、2022 年ノーベル化学賞を受賞した「クリック化学」に代表されるもの。

(*2)マテリアル・インフォマティクス
材料開発に情報科学の技術を用いて、効率化を図る取り組み。ビッグデータや
AI などのデジタル技術を活用し、膨大な実験や論文のデータを解析して、素材の組み合わせや製造方法を予測する手法。

(*3)PFAS
炭素とフッ素の結合を持つ有機フッ素化合物の総称で、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を指す自然界で分解しにくく水などに蓄積することがわかったほか、人への毒性も指摘されており、国際条約で廃絶や使用制限されている

<AresMaterials 社概要>
・本社 :米国テキサス州ダラス
・事業概要 :エン・チオール系光学フィルムの開発、販売、ライセンス供与および
マテリアルズ・インフォマティクスを活用したデザイン設計
・公式 HP:https://aresmaterials.com/home

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