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2025/8/26

【光電融合】ウシオ電機、ピッチ補償光学系と位相シフト形成機能を備えた干渉露光装置開発

　ウシオ電機は、干渉縞のピッチ精度0.01nmを達成し、位相シフト構造の形成を実現する新たな干渉露光装置の開発に成功した。なお、この製品は2027年春に販売開始の予定。
　生成AI（人工知能）の競争激化によってデータセンターで扱う電力量が課題となっており、光電融合※に期待が集まっている。光電融合に用いられるレーザー光源は、導波路に回折格子を有するDFB-LD（分布帰還型レーザー）と呼ばれ、需要は急激に拡大している。しかしながら、回折格子を形成するためのEB（電子線描画）装置の生産性が低く、供給が追い付いていない。干渉露光技術が、EBの生産性の低さを解決できる可能性を持つことは広く知られているが、以下3つの課題により量産適用には至っていない。
1.安定した露光品質が得られない
2.ピッチ精度が低い
3.位相シフト構造が形成出来ない
　今回、ウシオ電機は上記3つの課題を解決した新しい干渉露光装置を提案する。
（1）DPSSレーザーとKrFレジストによる優れた露光安定性
　従来の干渉露光装置は、光源にガスレーザー、線形成の強いフォトレジストを採用していたため、露光安定性が低い問題があった。ウシオ電機の干渉露光装置は、光源に266nm DPSS(Diode Pumped Solid State)レーザー、フォトレジストに化学増幅型KrFレジストを用いることで、露光性能を維持したまま、優れた露光安定性を達成している（図1）。

（2）独自の補償光学系によりピッチ精度0.01nmを達成
　ウシオ電機の干渉露光装置は、露光する干渉縞を0.01nmの精度で直接測定可能。また、狙いピッチとのズレを補正する補償光学系を有している。この機能により、DFBレーザーの回折格子に求められる高いピッチ精度を達成することが可能（図2）。

（3）デジタルホログラフィック素子との組み合わせにより位相シフト構造の形成を実現
　位相シフト層は、回折格子の一部に不連続な形状を与えることで歩留りを改善すると言われている。ウシオ電機の干渉露光装置は、高度に制御されたデジタルホログラフィック素子を用いることで、従来の位相シフト層と等価な機能を有するCPM（Corrugation Pitch Modulation）構造を実現している。
　装置販売開始に先立ち、デモ加工を広く受け付けている。この装置は、半導体レーザーにとどまらず、AR（Augmented Reality）で必要とされる光学部品の製造でも大きな適用可能性を秘めている。
　なお、同技術の内容に関しては、2025年9月8日～12日に開催予定の電子情報通信学会ソサエティ大会（岡山大学）にて発表予定。
※電気信号を扱う電子回路と光信号を扱う光回路を統合し、データ処理や通信を電気から光に置き換えることで、高速化、低消費電力化、大容量化を目指す技術

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