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2024/10/30
【全固体電池】出光興産、2027~2028年の実用化に向けた固体電解質大型パイロット装置の基本設計を開始
出光興産は、2027~2028年の全固体リチウムイオン二次電池(以下、「全固体電池」)の実用化を目標に、全固体電池の材料となる固体電解質の大型パイロット装置の基本設計を2024年10月に開始した。生産能力は年間数百トンを予定しており、世界でもトップクラスの生産規模となる。最終投資決定(FID)は2025年中を見込み、完工は2027年を目指す。固体電解質の量産技術の開発を強力に推進することで自動車メーカーや電池メーカーなどのニーズに着実に応えていく。
なお、2023年10月に公表したトヨタ自動車との協業※においては、2027~28年に全固体電池を搭載した電気自動車(EV)の実用化を目指す。出光興産が大型パイロット装置で製造した固体電解質は、トヨタ自動車が開発するEV向け全固体電池で使用される計画。
全固体電池は、従来の液系電池と比較し、電解質が固体であるためイオンがより速く動ける特徴がある。そのため、全固体電池を搭載したEVには急速充電時のさらなる時間短縮や、出力を向上出来るポテンシャルが見込まれる。また、高電圧・高温に強いため、エネルギー密度の向上や長寿命化が期待できる。
出光興産は、EVの進化や資源循環型社会の構築に貢献する全固体電池に不可欠な材料である固体電解質の開発を進めている。小型実証設備、大型パイロット装置と段階的に製造装置をスケールアップし、その先の事業化へつなげる計画。
現在は、千葉県で小型実証設備として2つのプラントを稼働させ、量産技術の開発およびサンプル供給を実施しているが、このたび、その次のステージとなる大型パイロット装置の基本設計を開始した。大型パイロット装置の建設は、同社の千葉事業所(千葉県市原市)敷地内を予定しており、今年7月から整地工事に着手している。また、2027年中の大型パイロット装置の完工と供給体制の強化に向けて、同社のリチウム電池材料部内に「パイロット準備室」を新設した。
出光興産が手掛ける固体電解質は、石油製品の製造過程で副次的に発生する硫黄成分を原料としている。同社は、硫黄成分の有用性をいち早く1990年代半ばから見出し、長年にわたって培った研究力と技術力によって、固体電解質の開発に成功した。固体電解質の量産化へ向けた技術開発は、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」の1つとして採択されている。
今後は、固体電解質の原料となる硫化リチウムの製造能力強化についても年度内決定を目標に準備を進めている。出光興産は原料から製品まで一貫したサプライチェーンの構築を進め、全固体電池の社会実装を目指す。
※2023年10月12日付
出光とトヨタ、 バッテリーEV 用全固体電池の量産実現に向けた協業を開始
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