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2025/7/24
【再生可能エネルギー】NEDO、分散型エネルギーリソースおよび高電圧直流送電設備を活用した2件の新たなフレキシビリティ技術開発に着手
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、委託事業である「電源の統合コスト低減に向けた電力システムの柔軟性確保・最適化のための技術開発事業(日本版コネクト&マネージ2.0)/研究開発項目1 DER等を活用したフレキシビリティ技術開発」(以下、本事業)の2025年度公募で、2件の研究開発テーマを採択した。
本事業では、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の増加に伴って生じる系統制約の課題を解決するため、分散型エネルギーリソース(DER)と高電圧直流送電(HVDC)設備のフレキシビリティの活用に向けた技術開発に着手する。
NEDOは本事業を通じて、電力系統に接続するためのコスト(以下、統合コスト)を可能な限り低減し、再生可能エネルギーの導入促進を目指す。
概要
「エネルギー基本計画」では、2030年の電源構成に占める再エネ比率として36~38%程度を実現することが示され、「セキュリティーを大前提とし、エネルギーの安定供給、経済効率性、環境適合」(S+3E)を同時達成しつつ、再エネの導入を進める必要性がますます高まっている。
他方、日本の電力系統の整備状況は、こうした再エネ導入量の増加を前提としたものに必ずしもなっておらず、再エネを電力系統に受け入れ、安定的に運用するためには系統制約の課題解決が必要。このために必要な統合コストは、特に天候などによって出力が変動する再エネの接続割合が増えることに伴い、上昇する。「エネルギー基本計画」で示される再エネの導入割合を目指すにあたっては、統合コストを低減していくことが重要。
このような背景の下、NEDOは本事業で、再エネの増加に伴って生じる電力システムの周波数、熱容量、同期安定性といった系統制約の課題を解決し、統合コストを可能な限り低減しながら再エネの導入促進を目指し、これまでにないDER※1とHVDC設備のフレキシビリティ※2の活用に関する研究開発テーマ2件を新たに採択した。
NEDOは、これらテーマを一体的に推進し、S+3Eの同時達成による2030年の再エネ比率36~38%程度および2050年カーボンニュートラルの実現に貢献する。
実施内容・採択テーマ
事業名:「電源の統合コスト低減に向けた電力システムの柔軟性確保・最適化のための技術開発事業(日本版コネクト&マネージ2.0)/研究開発項目1 DER等を活用したフレキシビリティ技術開発」
予算:28億円(2025年度)※「日本版コネクト&マネージ2.0」事業全体の予算
実施期間:2025年度~2026年度
採択テーマ:本事業では、いまだ検討に至っていない、新たなフレキシビリティのユースケースに関する下記2件のテーマを採択した。
(1)需給課題・系統課題の解決に向けたフレキシビリティ最適活用技術の開発
2024年度までに「電力系統の混雑緩和※3のための分散型エネルギーリソース制御技術開発(FLEX DERプロジェクト)」※4において抽出した「DERの運用高度化」や「DER不応動時のセーフティーネット方策」といった技術的な課題を解決し、再エネの出力制御を回避しつつ配電系統の混雑緩和を可能とするDERフレキシビリティシステム※5の社会実装と成果の普及を図る。
また、DERを系統運用と連携し全体最適を図りながら活用するため、DERを活用した系統混雑緩和と需給バランスなどを維持する仕組みの企画構想を行う。
委託先:東京電力パワーグリッド、電力中央研究所、早稲田大学、エナリス、日立製作所、関西電力送配電、東京大学、中部電力パワーグリッド、東京電力エナジーパートナー、東京電力ホールディングス、本田技研工業、筑波大学(再委託)
(2)多機能HVDCシステムの開発
洋上風力発電設備のようなDERが発電した電力を送るためのHVDC設備を活用し、過渡安定度制御および周波数制御を行うことで系統安定化を目指す基本的なHVDCシステムの制御ロジックの検証を実施する。
委託先:東京電力ホールディングス、東芝エネルギーシステムズ、東京科学大学(再委託)
※1 DER
Distributed Energy Resourcesの略で、発電設備や蓄電設備、電気自動車、ヒートポンプなどの需要設備の総称。
※2 フレキシビリティ
本事業では、電力系統の安定性を維持するために、DERやHVDC設備などが持つ、発電電力や負荷の消費電力、電圧などの大きさを柔軟に変化させることが可能な能力のことをいう。
※3 電力系統の混雑緩和
再エネの大量導入時に、再エネにより発電された電力が電力系統へ大量に送り込まれることにより、電力系統の送配電線の電力潮流が増加し送配電可能電力量が減少することを電力系統の混雑という。一方、この混雑を解消する取り組み(負荷の消費電力を大きくし再エネの発電電力を吸収するなど)により送配電可能量が回復することを混雑緩和という。
※4 「電力系統の混雑緩和のための分散型エネルギーリソース制御技術開発(FLEX DERプロジェクト)」
事業期間:2022年度~2024年度
事業概要:電力系統の混雑緩和のための分散型エネルギーリソース制御技術開発(FLEX DERプロジェクト)
※5 DERフレキシビリティシステム
電力系統の混雑状況やDERの活用状況(蓄電池の充電状態など)を共有し、発電電力や負荷の消費電力の大きさに応じてDERなどの制御を可能とするプラットフォームの中核となるシステムのこと。
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