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2024/10/26

【半導体】テキサス・インスツルメンツ、窒化ガリウムの社内製造能力を従来の4倍に拡大

 テキサス・インスツルメンツ(TI)は2024年10月25日、福島県会津工場でGaNベースのパワー半導体の製造を開始したと発表した。
 TIは会津での製造拡大に伴い、米国テキサス州ダラスにある既存のGaN製造拠点と合わせて、GaNベースのパワー半導体における社内製造能力を4倍に高めることができる。
 TIの技術製造部門担当シニア バイス プレジデントを務めるMohammad Yunus氏は次のように述べている。
 「10年以上にわたるGaNチップの設計と製造の専門知識に基づき、TIは今日のGaN製造において、最もスケーラブルかつコスト競争力に優れた200mm GaNテクノロジーの認定に成功し、会津で量産を開始します。これにより、TIはより多くのGaNチップを社内で製造できるようになり、2030年までに社内製造の比率は95%以上に達する見込みです。同時に、大電力かつエネルギー効率の優れた半導体で構成されたTIのGaN製品ラインアップ全体を、TIの複数の拠点から高い信頼性で確実に供給できるようになります」

GaN テクノロジーの特長
 シリコンに対する代替選択肢の1つであるGaNは、エネルギー効率、スイッチング速度、電源ソリューションのサイズと重量、システム全体のコスト、高温や高電圧の環境下での性能が優れている。
 GaNチップは、より高い電力密度を実現し、同じ電力をより小さなスペースで供給し、ノートPCや携帯電話、スマートフォン向けの電源アダプタや、冷暖房システムや家電製品向けのより小型で、エネルギー効率の優れたモーターなどのアプリケーションの実現に役立る。
 TIは現在、高電圧から低電圧に至るまで、GaNベースの統合型パワー半導体で構成された幅広い製品ラインアップを提供し、エネルギー効率、信頼性、電力密度が非常に優れたエレクトロニクス製品の実現に貢献している。
 TIの高電圧電力部門担当バイス プレジデントを務めるKannan Soundarapandian氏は次のように述べている。
 「GaNを活用することで、TIはコンパクトなスペースでより多くの電力を、効率的に供給できます。これは、市場においてTIの多くのお客様が革新を推進するために重要なニーズとなっています。サーバー電源、ソーラー発電、AC/DCアダプタなどのシステム設計者は、消費電力の低減や電力効率の向上のような課題に直面しているなか、GaNベースのTIの高性能チップが高い信頼性で供給される体制をますます必要としています。GaNベースの統合型電力段で構成されたTIの製品ラインアップにより、お客様は電力密度の引き上げ、使いやすさの向上、システム コストの削減を実現できます」
 さらに、TIのGaNチップは、TI独自のGaN-on-Si (シリコン基板上にGaNを形成)プロセスを通じて、信頼性テストで8,000万時間以上の長さを達成し、統合された各種保護機能により、電圧システムの安全を維持できるよう設計されている。

現在利用可能な最先端の GaN 製造テクノロジー
 現在GaNチップ製造に利用可能な最先端クラスの装置を使用しているTIの新しい製造能力により、製品の性能と製造プロセスの効率が向上し、コスト面でも優位性が得られる。
 また、TIの拡張されたGaN製造で使用される、より高度で効率的なツールは、より多くの電力を集約し、より小型のチップを生産することができる。
 この革新的な設計は、製造時に使用する水、エネルギー、原材料を削減するほか、GaNチップを採用する最終製品も、同様の環境上の利点を享受できる。

将来の進歩を想定した拡張
 TIのGaN製造能力拡張による性能上の利点により、TIはGaNチップを高電圧対応に向けて拡張することができる。
 最初は900Vを目標とし、段階的により高い電圧へと引き上げていく。それにより、ロボット、再生可能エネルギー、サーバー電源などのアプリケーション向けの電力効率とサイズの革新をさらに促進できる。
 加えて、TIの投資拡大の一環として、今年初め、300mmウエハ上にGaNを製造するプロセス開発の試験運用に成功している。さらに、TIの拡張されたGaN製造プロセスは、300mmテクノロジーへ全面的に移行が可能。つまり、TIは顧客のニーズに合わせた拡張に容易に対応でき、将来的には300mmへの移行を視野に入れている。

責任あるサステナブルな製造におけるコミットメント
 TIは、責任あるサステナブルな製造に取り組んでおり、GaNテクノロジーの供給能力の拡大と革新の推進は、その最新の例である。
 TIは、2027年までに米国で、また2030年までに全世界で再生可能エネルギーの使用率を100%にする取り組みを進めている。

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