アーカイブ情報

2024/2/7

【半導体】トッパンフォトマスク、IBMと2nmプロセス技術向けEUVフォトマスクの共同開発開始

 TOPPANホールディングスのグループ会社であるトッパンフォトマスクは、次世代半導体向けの高NA EUV(※1)を含む、EUVリソグラフィ(※2)を使用した2nmロジック半導体プロセスノード(※3)対応のフォトマスクに関する共同研究開発契約を、IBMと締結した。
 今回の契約に基づき、2024年2月から5年間、アルバニー・ナノテク・コンプレックス(米国ニューヨーク州)(※4)とトッパンフォトマスクの朝霞工場(埼玉県新座市)で、フォトマスク開発を共同で行う。

EUVフォトマスク ⓒ Toppan Photomask Co., Ltd.

 2nmノード以細の半導体の量産には、これまで主流であった「ArFエキシマレーザー(※5)」を光源とする露光技術をはるかに超える、高度な材料選択とプロセス制御の知識が必要となる。今回のトッパンフォトマスクとIBMの合意により、両社の持つ材料技術と製造プロセス制御技術を融合し、2nmノード以細の半導体量産に向けたソリューションの提供を目指す。

共同研究開発の背景
 トッパンフォトマスクはワールドワイドな生産体制を構築する唯一のフォトマスクメーカーとして、半導体用フォトマスクの外販市場におけるトップシェアを占めており、EUV露光用マスクや基板材料の開発と製造に積極的に取り組んでいる。また、最先端のマルチビーム描画装置を複数台導入し、最新の半導体市場の要求にも応えている。
 IBMの半導体開発の取り組みは、アルバニー・ナノテク・コンプレックスにある研究所を拠点として行われている。そこでは、IBMの研究員たちが公共機関や民間企業のパートナーと緊密にコラボレーションし、ロジック・スケーリングや半導体の能力の限界を超えるために働いている。
 これまで両社は45nmノードを皮切りに、32nm、22/20nm、14nmといった各世代の先端半導体用フォトマスクや、初期段階のEUVフォトマスクの研究・開発を、2005年から2015年にかけて共同で推進していた。このたび新たな取り組みとして、次世代半導体向けの高NA EUVフォトマスクを含む、EUVリソグラフィを使用した2nmロジック半導体プロセスノードに関する共同開発を2024年2月から開始する。

今後の目標
 トッパンフォトマスクは、IBMと共に半導体の微細化を支援し半導体産業の発展を促進させ、日本の半導体産業の成長に寄与することを目指す。また、今後2nm以細の微細化の実現にも貢献していく。
■ IBMグローバル半導体研究開発担当副社長 Huiming Bu氏のコメント
 2nmノード以細の半導体設計・製造においては、EUVおよび高NA EUVリソグラフィを活用した新たなフォトマスク技術が重要な役割を果たすと考えられます。トッパンフォトマスクとの協業では、日本の半導体サプライチェーンにおいて不可欠である、ファウンドリの先端製造体制を実現するために、新しいソリューションの開発によって先端ロジック半導体の微細化におけるイノベーションを加速することを目指しています。
■トッパンフォトマスクについて
 トッパンフォトマスクは、半導体用フォトマスクの製造・販売会社として、凸版印刷(現TOPPANホールディングス)からの会社分割により設立され、2022年4月より営業を開始した。東京に本社を構え、世界各地に広がる顧客サービスネットワークと、主要な地域にある8つの製造拠点を活用し、業界最先端の技術開発力で、外販フォトマスクのリーディングカンパニーとして半導体産業の発展に貢献する。さらに、ナノインプリントモールドを始めとする微細加工製品にも事業領域を拡大していく。
※1 高NA EUV
 高NA(Numerical Aperture:開口数) EUVはEUVリソグラフィの進化形で、より微細なパターンを作る技術。高NAは光を集め、微細な構造をより正確に作り出す。これにより、半導体チップの性能や電力効率が向上する。
※2 EUVリソグラフィ
 極端紫外線(EUV)光(波長約13.5nm)を使用し、微細な半導体パターンを作成する技術。この短い波長は、より微細な構造を可能にし、半導体チップの性能向上に寄与する。
※3 プロセスノード
 半導体の製造技術(半導体プロセス)の世代を表す指標。
※4 アルバニー・ナノテク・コンプレックス
 ニューヨーク州政府が主導し設立したナノ電子工学の研究開発を目的とした産学官コンソーシアム。
※5 ArFエキシマレーザー
 半導体製造で用いられる特殊な光源。波長が193nmと非常に短いため、微細なパターンを形成するのに適している。

カテゴリー
コンバーティングニュース

PAGE TOP