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2025/10/7

【半導体】ヤマハロボティクスが研究開発に取り組むNEDOプロジェクトの成果「チップオンウェハダイレクト接合技術」、「CEATEC AWARD 2025」でイノベーション部門賞受賞

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の一環で、「ポスト5G向けチップオンウェハダイレクト接合3D積層統合技術開発」に取り組むヤマハロボティクスと共同研究先のAIST(産業技術総合研究所)および東京理科大学は、「CEATEC AWARD 2025」において、その成果である「AIの進化に貢献する、環境配慮型チップオンウエハダイレクト接合技術の開発」のイノベーション性が高く評価され、このたび、イノベーション部門賞を受賞した。
 今回受賞した「AIの進化に貢献する、環境配慮型チップオンウエハダイレクト接合技術」は、ダイレクト接合技術を用いて複数の半導体チップをチップオンウェハで実装する、先端半導体デバイスの3次元実装を実現するための技術。これまでの技術課題である、ダイシング後の半導体チップ表面に残留した異物を大幅に削減することができた。50μm以下の非常に薄いチップを高い生産性と高歩留まりで積層実装する、環境に配慮したチップオンウェハダイレクト接合技術構築の早期実現を通じて、人工知能(AI)の進化への貢献を目指す。
 なお、2025年10月14日~17日まで幕張メッセで開催される「CEATEC 2025」開催期間中、NEDOブースでこの成果を紹介する。

開発した要素技術と適用例

概要
 NEDOは「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」に取り組んでおり、このたび、その成果が「CEATEC AWARD 2025」のイノベーション部門賞を受賞した。
 「CEATEC AWARD 2025」は、Society 5.0の総合展「CEATEC 2025」に展示される技術・製品・サービスの中から、出展者が事前に応募した出展品・案件について「CEATEC AWARD 2025 審査委員会」が審査・選考し、特にイノベーション性が高く、優れていると評価されたものに授与される。
 今回受賞したのは、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の一環でヤマハロボティクス、AIST、東京理科大学の3者が実施している「ポスト5G向けチップオンウェハダイレクト接合3D積層統合技術開発」で、ダイシング後の最先端半導体チップを高い生産性と高歩留まりで積層実装する技術により、AIの進化への貢献につながる研究開発成果をあげた点が評価された。
 近年、AIの進化に伴い必要とされる先端デバイスは複数の半導体チップを3次元で実装するなど、後工程で高性能化を実現することへの期待が高まっている。高機能化・高速伝送化のため、電極間の挟ピッチ化と低抵抗化などの要求や実装の多積層化の進展によるチップの薄型化への対応が求められているが、積層実装する半導体チップ表面の異物が接合品質に影響して歩留まりを下げ、実用化の障害になっている。今回の成果はこの課題を解決するもので、半導体チップ接合表面に残留するサブミクロンサイズの異物を除去し、清浄な状態を維持したまま搬送して接合することを可能とする。
 今回研究開発した「異物除去洗浄技術」は、薬剤を使用せず、環境に優しい水素水を用いて異物除去洗浄を行っている。また、「超音波非接触ハンドリング技術」は、超音波を用いた完全非接触で、厚さ50μmの極薄のチップに対応している。「異物検査技術」は、後工程で管理が必要なシリコンくず(不透明)に加えて樹脂系異物(半透明)の検査を実現し、これらの要素技術を用いて、チップオンウェハダイレクト接合技術を実現している。
 今後は、これらの技術を搭載したフリップチップボンダの商品化や各要素技術の応用展開などを通じて、先端半導体デバイスの3次元実装の量産化、高度情報化社会の実現に貢献する。

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