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2025/11/14
【半導体】信越化学工業の300mm QST板上に、 IMECが650V超のGaN破壊電圧の世界最高記録を達成
信越化学工業が開発した300mm GaN専用の成長基板であるQST™基板※1が、IMEC※2における300mm GaNパワーデバイス開発プログラムに導入され、サンプル評価が行われている。この評価において、QST™基板を用いた5µm厚のHEMT※3デバイスが、300mm基板として世界最高記録となる650Vを超える高耐圧を達成した。
信越化学工業は、米国QROMIS, Inc.(本社米国CA、CEO Cem Basceri、以下「QROMIS」)のライセンスのもと、150mmおよび200mmQST™基板ならびにさまざまな直径のGaN-on-QST™エピタキシャル基板を製造している。2024年9月からはQROMISと連携し、300mm QST™基板のサンプル提供を開始した。
さらに信越化学工業とQROMISは、IMECとの間でベルギーのルーヴェンにあるIMECの最先端300mm CMOSファブ向けに300mm QST™基板を供給するための緊密なパートナーシップを確立。IMECは、2025年10月に報告された300mm GaNパワーデバイス開発プログラム※4で、300mm QST™基板を使用してGaNパワーデバイスを開発すると発表。650V耐圧品の開発を手始めに、1200V以上に開発を進め、AIデータセンター、産業用途、自動車用途向けに展開する。
初期評価の結果、IMECは、SEMI規格を満たした信越化学工業の300mm QST™基板上にAixtron※5のHyperion MOCVD装置を使用して、5µm厚の高電圧GaN HEMT構造を作製することに成功した。これはSEMI規格に準拠した基板において、650Vを大きく上回る800V以上もの破壊電圧の世界記録を達成し、優れた面内均一性を示している。この結果は、GaNの熱膨張係数に適合したQST™基板が、大口径であってもGaNの結晶を成長させる性能を安定して発揮することを表している。
GaNは、従来のシリコンウエハー生産ラインが使用可能であることから、大口径化による生産コスト低減が期待されている。しかしながら、シリコンウエハー上へのGaN成長は大口径になるほど反り等の課題により生産歩留まりが低くなり、実用的な量産は困難。この課題を解決するのが300mm QST™基板であり、シリコンウエハー基板上では不可能であった反りやクラックのない高耐圧向け厚膜の300mm GaNエピタキシャル成長を可能とし、デバイスコストを大幅に削減する。信越化学工業はこれまで150mm、200mmのQST™基板の設備増強を進めてきており、現在QST™基板の300mm量産化にも取り組んでいる。
QST™基板は現在、国内外の多数の顧客でパワーデバイス、高周波デバイス、LEDデバイス等の開発で評価が続けられている。また近年関心が高まるAIデータセンター向け電源に対し、実用化に向けた段階にある。
150~300mmQST™基板のラインアップを取り揃えることにより、GaNを用いたさまざまなデバイスの普及が大きく加速する。信越化学工業は、今後の社会に不可欠な特性を兼ね備えたGaNデバイスのさらなる社会実装を進展させることにより、エネルギーを効率的に利用できる持続可能な社会の実現に貢献していく。
※1 QST™基板はQROMIS社(米国カリフォルニア州、CEO Cem Basceri)により開発されたGaN成長専用の複合材料基板であり、2019年に信越化学がライセンス取得。なおQST™はQROMIS社が保有する米国商標(登録番号5277631)。
※2 ベルギーのルーヴェンに本部を置く半導体技術の研究開発において世界をリードする国際的な非営利研究開発機関。
※3 高電子移動度トランジスタ (High Electron Mobility Transistor)の略。化合物半導体(ガリウムヒ素、窒化ガリウムなど)を用い、電子を流す層と供給する層を分けるヘテロ接合構造を持つ電界効果トランジスタ(FET)。
※4 IMECのプレスリリースのリンク
https://www.imec-int.com/en/press/imec-launches-300mm-gan-program-to-develop-power-devices
※5 ドイツ・ヘルツォーゲンラートに本拠を置くGaN用MOCVD装置やSiCエピタキシャル成長装置を中心とする、化合物半導体製造装置の開発・販売を行う多国籍企業。
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