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2025/11/26

【半導体】富士フイルム、静岡工場 先端半導体材料の新棟竣工

 富士フイルムは、半導体材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(FFEM)の静岡工場内に建設していた開発・評価用の新棟が竣工し、11月より稼働を開始したことを明らかにした。今回の投資を通じて、開発品の性能評価や製品の品質評価を行う体制を拡充することで、先端・次世代半導体向け新規材料の開発加速や、高品質な製品のさらなる安定供給を実現。急速に拡大するAIデータセンター向け半導体をはじめとした高度情報化社会を支える半導体の需要増に対応し、半導体材料事業の成長をさらに加速する。
 近年、AIや5G、IoTの普及により、半導体市場は急速に成長しており、特にAI半導体などの先端半導体の需要が急増している。富士フイルムの半導体材料事業は、2021年度から2024年度にかけて売上が約1.7倍に拡大し、富士フイルムグループの成長を牽引する中核事業の1つとなっている。こうした成長を支えるため、2021年度から2024年度にかけて1000億円以上の設備投資を実施し、2025年度から2026年度にかけてさらに1000億円以上の投資を計画している。
 静岡工場の新棟では、高い清浄度のクリーンルームに先端評価機器を設置し、開発・生産のための品質評価機能を強化。また、半導体材料に含まれる微粒子を検査する工程にAI画像認識技術を導入しその分析精度を向上させるなど、AIを活用した高度な品質管理体制を構築する。さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する部門を新棟に配置し、製造工程におけるAIなどのデジタル技術の活用拡大を支援することにより、製品の品質向上と安定供給を実現する。
 さらに、BCP(事業継続)対策として、RC造柱頭免震構造を採用し、水害に備えクリーンルームを地上12mに配置した。
 静岡工場は、日本市場に対してだけではなく、グローバルな研究開発・生産拠点と連携しながら、顧客の最先端プロセス技術開発を支援している。
 今回の新棟立ち上げにより、EUV(極端紫外線)※1リソグラフィ用レジストやArF※2、NIL※3などの先端レジスト、さらにはPFASフリー※4材料や世界トップシェアの「Wave Control Mosaic™」※5の開発を加速し、次世代半導体の進歩に貢献する。
 またこれまでの投資により、次世代半導体パッケージのコア材料のポリイミド※6などの開発・量産体制を強化している。今後も、AI半導体向けの需要増などに対応するため、生産能力の増強と多様な顧客ニーズにこたえる技術開発を進める。
 富士フイルムは、静岡工場新棟への投資を通じて、半導体材料の開発・生産体制を一層強化し、2030年に向けて市場が倍増すると予測されるAI半導体をはじめとした先端・次世代半導体市場の成長を牽引する。これにより、半導体材料事業の売上拡大と富士フイルムグループ全体の成長を加速していく。
 富士フイルムは、フォトレジスト※7やフォトリソグラフィー周辺材料※8、CMPスラリー※9、ポストCMPクリーナー※10、薄膜形成材※11、ポリイミド、高純度プロセスケミカル※12、イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとした「Wave Control Mosaic™」などをグローバルに展開している。今後も、最先端からレガシーノードまで半導体製造プロセスのほぼ全域をカバーする豊富な製品ラインアップに加え、日米欧アジアの主要国に製造拠点を有するグローバルな安定供給体制や高い研究開発力を生かしたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決に取り組み、半導体産業の発展に貢献していく。
※1 極端紫外線を用い、10ナノメートルより微細な世代に必要とされる最先端リソグラフィ技術。
※2 ArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザー光(波長193nm)を用いる露光手法で、現在最も普及している先端リソグラフィ技術。
※3 ナノインプリントリソグラフィ。半導体製造に用いるウエハー上のレジストに、回路パターンが刻み込まれたマスク(型)をハンコのように押し当てて回路パターンを転写・形成する技術。
※4 PFASとは、ペルフルオロアルキル化合物、ポリフルオロアルキル化合物およびこれらの塩類の総称。具体的には、OECD(The Organization for Economic Co-operation and Development)が2021年に公表した“Reconciling Terminology of the Universe of Per- and Polyfluoroalkyl Substances: Recommendations and Practical Guidance”で示す化合物のことを指す。PFASフリーは、この定義されたグループに該当する物質が含まれていないことを意味する。
※5 広範囲な波長の電磁波(光)をコントロールする機能性材料群の総称。デジタルカメラやスマートフォンに用いられるCMOSセンサーなどのイメージセンサーのカラーフィルターを製造するための着色感光材料を含む。Wave Control Mosaicは、富士フイルム株式会社の登録商標または商標です。
※6 高い耐熱性や絶縁性を持つ材料。半導体の保護膜や再配線層の形成に使用される。
※7 半導体製造の工程で、回路パターンの描画を行う際にウエハー上に塗布する材料。
※8 半導体製造のフォトリソグラフィー工程で使用する現像液やクリーナーなど。
※9 硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤。CMPは、Chemical Mechanical Polishing(化学的機械研磨)の略。
※10 CMPスラリーによる研磨後に、金属表面を保護しながら、粒子、微量金属および有機残留物を洗浄するクリーナー。
※11 低誘電率の絶縁膜を形成するための材料。
※12 洗浄・乾燥工程に使われる高純度薬品。半導体製造の洗浄・乾燥工程で異物を除去したり、エッチング工程にて金属や油脂などを取り除くために使用する化学薬品。
<新棟の概要>
場所:静岡県榛原郡吉田町川尻(FFEM静岡工場内)
延床面積:約6400m2
構造:鉄骨造/全免震構造
階数:地上4階
稼働開始時期:2025年11月
投資金額:約130億円(建屋、装置含む)
用途:先端レジストやWave Control Mosaic™の開発・生産のための品質評価機能強化(クリーンルームの設置・検査装置の導入などを含む)

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