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2024/5/27

【半導体】ams OSRAM、欧州半導体法の一環として2030年までにオーストリア・シュタイアーマルク州における生産とチップ技術を拡大する計画発表

 インテリジェントセンサとエミッターのグローバルリーダーであるams OSRAMは、プレムシュテッテンの開発・生産拠点をサステナブルに強化している。ams-OSRAM AGのCEOであるAldo Kamper(アルド・カンパー)氏は、2024年5月13日、Martin Kocherオーストリア労働経済大臣およびオーストリア・シュタイアーマルク州のChristopher Drexler知事と共同で、2030年までにプレムシュテッテンの開発・生産拠点で総額5億8,800万ユーロの投資を計画していることを発表した。欧州半導体法(European Chips Act)の枠組みの中で、最大2億ユーロの資金援助を申請している。これは、ams OSRAMによる資金援助の申請はすでに予備申請中であり、EU委員会の承認を求めて提出されていることを示している。
 シュタイアーマルク州の生産拠点で計画されている新工場は、オーストリアの半導体業界における主導的役割をさらに拡大するものである。今後数年間に、計250の新たな雇用が創出される。
 半導体市場における世界的な情勢は、将来に向けて革新的なキーテクノロジーに投資することの重要性を明確に示している。欧州委員会がヨーロッパにおける半導体の大量生産を推進し、2030年までにその世界市場におけるシェアを20%に拡大するという目標を自らに課したのもこれが理由。加えて、新しい次世代チップテクノロジーが可能になっている。このため、欧州半導体法が打ち出された。このams OSRAMによる投資は、半導体の生産とデジタル化におけるヨーロッパの主権強化に貢献する。また、「グリーンへの移行(Green Transition)」にも重要な役割を果たすことになる。
 ams-OSRAM AGのCEOであるAldo Kamper氏は次のように述べている。
 「本社の新しい工場では、イノベーションのためのスペースを拡大し、お客様の高まる需要を満たすとともに、ヨーロッパでより多くの製品を製造することが可能になります。同時に、当社の投資は、事業拠点としてのプレムシュテッテン、ハイテク拠点としてのシュタイアーマルク州、そしてイノベーションと生産拠点としてのオーストリアに対する明確なコミットメントでもあります。ここから、当社は欧州グリーンディールに沿ったデジタル化を推進し、ヨーロッパの技術的主権を支援していきます」
 Martin Kocher労働経済大臣は次のように述べている。
 「オーストリアは、マイクロチップに関するヨーロッパ有数の拠点の1つであり、それが雇用の確保と長期的な繁栄につながっています。技術的な専門性とイノベーションの強みのおかげで、オーストリアの半導体産業は我が国の国際競争力を強化しています。半導体産業が国と経済、労働力にもたらす機会を生かすとともに、その先駆者としての役割を引き続き拡大していきます。ams OSRAMが本日発表した投資は、これに大きく貢献するものとなります。欧州半導体法は研究と生産を加速するために必要な枠組みを提供します。連邦政府は、この戦略的強みの強化にコミットしており、すでにこの方向で明確な手段を講じています。このため、オーストリアは2031年までに約30億ユーロの予算を割り当て、オーストリア半導体におけるイノベーションと生産のエコシステムをさらに強化していきます」
 ams OSRAMは、戦略的な「基盤再構築(Re-establish the Base)」プログラムの一環として、インテリジェントセンサとエミッターの中核事業(車載用LEDとレーザーダイオード、医療および産業アプリケーション、コンシューマーハンドヘルド向けの高度に差別化されたコンポーネント)における、構造的成長分野に注力している。
 計画されている半導体製造施設は、この種の施設としては世界初となり、医療および車載アプリケーション向けの高度に差別化されたオプトエレクトロニクスセンサの次世代製品を生産する。産業および消費財アプリケーション向け製品を製造する計画もある。ツールボックスのコンセプトに基づいた、卓越したテクノロジー(CMOS、フィルター(1)とTSV(2))機能の組み合わせで構成される。製品に合わせて異なる機能を必要に応じて個別に組み合わせ、小型化されたフォームファクタ、より多くの機能を搭載したコンポーネント、優れた電気的性能を備えた画像処理やオプトエレクトロニクス向けのエネルギー効率の高い製品を実現することができる。プレムシュテッテン拠点でCMOS生産のために追加される1,800平方メートルのクリーンルームの建設により、フィルターの生産量も2倍、TSVの生産量も4倍に増加する。
 シュタイアーマルク州のChristopher Drexler知事は次のように強調する。
 「ams OSRAMによる投資は、シュタイアーマルク州、そしてプレムシュテッテンでの生産拠点確保にとっても朗報となります。この投資により、シュタイアーマルク州が産業およびハイテク地域としてさらに強化されるとともに、数多くの新たな雇用が創出されます。研究開発に明確に重点を置き、十分な訓練を受けた数多くのスペシャリストを擁するシュタイアーマルク州は、企業に成長とポジティブな発展のための素晴しい環境を提供します」
 シュタイアーマルク州のBarbara Eibinger-Miedl経済大臣は次のように述べている。
 「オーストリア南部は国内マイクロエレクトロニクス産業の中心地です。このセクターにおける付加価値の80%は、シュタイアーマルク州とケルンテン州で生み出されています。プレムシュテッテンにおけるams OSRAMによる最新の投資は、250の新たな雇用を創出し、シュタイアーマルク州をビジネス拠点としてさらに強化するとともに、国際的な注目度をより高めることになります」
 加えて、ams OSRAMは新たに生み出される生産能力の約20%を「オープンファウンドリ」、つまり他の企業や研究機関の受託製造業者として利用可能にする計画。「当社の戦略的な『基盤再構築』プログラムに沿って、市場をリードするコアコンピタンスを確立し、ここから半導体市場の未来を形作っていきたいと考えています」と、ams OSRAMのCEOであるAldo Kamper氏は述べている。これは、ヨーロッパのデザインハウスによる自動車、医療、産業アプリケーション向けの新しいソリューションの開発を可能にするとともに、テクノロジーとサービスの組み合わせを提供するヨーロッパ初のファウンドリとなる。
(1)フィルターは入ってくる放射線を選別する。例えば、光の波長が重なり合う干渉現象を利用して、電磁放射の特定のスペクトル範囲を通過させたり、反射させたりする。これは人間の目を超えた色認識を可能にする。
(2)TSV(シリコン貫通電極)は、チップを貫通する垂直方向の電気接続。コンシューマー、自動車、医療などのさまざまな市場セグメントで必要とされる高性能な小型デバイス向けの高度なパッケージングテクノロジーに不可欠なビルディングブロック。TSVを採用したデバイスは通常、従来のパッケージングコンセプトよりも30~70%小型化される。サイズの大幅な削減は、IoTアプリケーションにおけるセンサの実装を可能にするために不可欠。

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