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2024/9/10
【半導体】SEMIエネルギーコラボレイティブ、日本における低炭素エネルギー供給拡大に向けた提言発表
SEMI(本部:米国カリフォルニア州ミルピタス)は、9月3日(米国時間)、温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた世界的な半導体バリューチェーンの取り組みを強化するため、日本における低炭素エネルギー(LCE)市場の現状と予測に関する分析を発表した。同レポートは、SEMIエネルギーコラボレイティブ(EC)とそのスポンサーが日本政府とパートナー団体からの知見を取り入れながら作成し、LCE供給を拡大するために必要な政策と投資について概説している。
再生可能エネルギーの100%利用を目指す400社以上の企業で構成されるコンソーシアムRE100の最新の年次開示報告書では、日本はクリーンエネルギー調達において、最も困難な2つの市場のうちの1つに挙げられている。2022年には、日本の発電構成のうちLCEはわずか27%を占めるにすぎず、残りの73%は化石燃料で占められている。ECは、2030年の日本のLCE総需要が390~450TWhになると予測しており、最良のケースシナリオにおいてさえ、供給が需要を20~80TWh下回り、企業の自主的な総需要の20~50%しか賄えないとしている。
SEMIのサステナビリティプログラム担当副社長であるモウスミ・バット(Mousumi Bhat)氏は次のように述べている。
「日本政府は半導体産業を活性化し、世界の生産額を現在の5兆円から2030年には15兆円まで3倍にするという目標を掲げています。そのためには、顧客の脱炭素化に向けた期待に応えることができるLCEへ、業界がアクセスできることが必要です」
ECの報告書は、日本におけるLCEの調達を加速させるために以下のことを提言している。
・LCE開発のためのアクセス拡大を可能にする土地利用政策の更新
・洋上風力開発の拡大・加速を促進するための現在の政策阻害要因の緩和
・長期的な送電網整備計画および実施/プロジェクト進捗の明確化により、送電網のボトルネックを克服
・LCE推進ゾーンの指定を加速させる、全国的な地域社会の協力関係の醸成
・企業のLCE調達メカニズムに関する知識を普及させるため、業界間の協力を促進
バット氏はまた、次のように述べている。
「この膨大な調査結果の分析と知見は、政府、インフラ、その他の業界リーダーとのエネルギーコラボレイティブ会議によって促進される、半導体業界との協力に向けた強力な基盤を提供します。私たちは、私たちの業界のニーズの詳細なシナリオ、エネルギー技術分析、そして地方自治体が将来のLCE供給に影響を与える政策を計画する際に重要となるエネルギー消費者の声を提供します」
それぞれの提言は、日本における現在と過去の市場状況の詳細な分析によって裏付けられている。また、他の地域がLCEの導入を促進するために同様の施策を実施し成功した具体的な事例から導き出されている。
エネルギーコラボレイティブの報告書「低炭素電力の拡大・調達に関する主要課題と潜在的解決策」は、韓国に関する報告書に続き、日本に関する5つの報告書のうちの2つ目となる。ECは台湾、マレーシア、シンガポールについても分析する。ECのスポンサーとなる組織は、各地域のより詳細な分析にアクセスすることができる。
■エネルギーコラボレイティブについて
SEMIエネルギーコラボレイティブは、企業や専門家のリーダー的ネットワークを巻き込み、主要市場の地域政府や規制当局とともに、再生可能エネルギーソリューションの導入ペースを加速させることを目的としている。半導体のバリューチェーンとの協力を通じてECは、半導体製造の排出量が現在の持続不可能な軌道から改善することを目指している。半導体とエネルギーのエコシステム全体からこのビジョンを共有する企業が、市民社会や非営利団体のパートナーとともにECを後援している。
*1 https://www.semi.org/jp/industry-group/sustainability/energy_collaborative
*2 https://www.there100.org/our-work/publications/re100-2023-annual-disclosure-report
*3 https://discover.semi.org/key-challenges-potential-solutions-for-expansion-and-procurement-of-low-carbon-electricity-registration.html
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