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2024/11/27

【反応性界面活性剤】第一工業製薬、環境にやさしい 「アクアロン」シリーズの製品ラインアップを拡充

 第一工業製薬は、環境にやさしい「反応性界面活性剤」の製品ラインアップを拡充する。反応性界面活性剤※1は、水系塗料や粘着剤、接着剤の製造工程で使われ、時間経過にともなう環境への溶出が少ないという特長がある。ラインアップの拡充により、規制強化が進むノニルフェノール系界面活性剤の代替を促進し、持続可能な社会へ貢献する。

一般の界面活性剤と反応性界面活性剤の違い
(ポリマーフィルム※7の粘着性や耐水性※8が向上)

左:製品外観(アクアロンシリーズ)、右:アクアロンを用いて調整したポリマーディスパージョン

 近年、SDGsの観点から、塗料や粘接着剤の水系化が進められている。それらの主成分であるポリマーディスパージョン※2の製造工程※3においては界面活性剤が必要だ。
 同社独自の技術で開発した反応性界面活性剤「アクアロン」シリーズは、塗料や粘接着剤の主成分と反応するため、一般的な界面活性剤で懸念される時間経過にともなう環境への溶出がほとんどない。

 ノニルフェノール※4(NP)系界面活性剤は優れた性能を持つものの、環境への懸念は過去から指摘されており、近年ではますますその規制が強まっている※5。この流れに対応するために、このたび、反応性界面活性剤のラインアップを拡充※6した。

 さまざまな顧客のご使用条件にあった製品を選択することが可能となり、顧客の課題解決に貢献する。同社はNP系界面活性剤の代替を促進し、2030年度までに2023年度比で販売量を1.5倍にすることを目指している。

※1 反応性界面活性剤:反応性基を有する界面活性剤。乳化重合用乳化剤として使用すると、モノマーと反応して、 ポリマーディスパージョンの安定性改善やポリマーフィルムの耐水性が向上する
※2 ポリマーディスパージョン:塗料や粘接着剤の主成分であるポリマー(樹脂)が水に分散したもの。ポリマーディスパージョンに様々な添加剤を加えることで、市販の塗料や粘接着剤が製造される
※3 製造工程(乳化重合):非水溶性ポリマーを水系で合成する合成方法のひとつ。この合成方法では基本的に界面活性剤を使用する必要がある
※4, ※5 ノニルフェノール(NP)および規制情報:ノニルフェノール(NP)は、環境ホルモン問題から危険視されている化学物質の1つである。その誘導体であるノニルフェニルエトキシレートは界面活性剤としての性能が非常によく幅広い分野で多く使われていたが、2025年春から第二種特定化学物質という監視リストに収載される(2024年9月27日公布、2025年4月1日施行)。PRTR届け出データによると、令和4年度における国内のNPE(ノニルフェノールエトキシレート)の環境排出量は、全国で約557t/Yと報告されている。(参考URL:https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/information/NPE_risk_assessment.html)
※6  ラインアップ拡充の概要:界面活性剤は、親水基と疎水基を持つ分子構造をしている。当社は、EO(エチレンオキサイド)付加技術を得意としており、親水基のサイズを変えた界面活性剤を合成できる。これにより、お客様のニーズに合わせた最適な界面活性剤を提案することが可能である
※7  ポリマーフィルム:樹脂の膜。身近なところでは、塗料やコーティング剤、粘接着剤などの乾燥被膜があてはまる
※8 耐水性:ポリマーフィルムが水にさらされたときに、元の状態を維持できるかの耐性を示す。耐水性が不足しているポリマーフィルムは、水を吸い表面が波打ったり、はがれたり、変色したりする

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