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2024/10/4

【工作機械向け低フリクションボールねじ】日本精工、「MT-Frix」開発。JIMTOF2024で展示

 日本精工(NSK)は、低フリクションボールねじ「MT-Frix™」*1を開発した。NSKの解析技術でボールねじ内部のボールと溝の接触状態を高精度に解明して内部仕様を最適化し、寸法はそのままに、剛性*2を維持しながら動摩擦トルク*3を低減。これにより、大幅な低発熱化を実現し、工作機械の高い位置決め精度を維持すると共に、動摩擦トルクによるCO₂排出量を従来比で最大50%削減した。
 同製品は2024年11月5日~10日に開催される「JIMTOF2024 第32回日本国際工作機械見本市」に出展される。2025年4月に受注を開始予定で、シリーズの売上として2027年に5億円を目指す。
*1 「MT-Frix™」:語源は、MT[Machine Tools(工作機械)の頭文字]+Frix(Friction を元とした造語)。意味は、「工作機械用途に最適な摩擦特性を持つボールねじ」。
*2 剛性:外部からの荷重に対する変形しにくさのこと
*3 動摩擦トルク:ボールねじを回転させる際に発生する摩擦によるトルク

低フリクションボールねじ「MT-Frix™」

1.開発の背景
 ボールねじは、工作機械の直線駆動部に搭載されており、加工工具やワークの位置決めなどを担っている。近年、機械加工の高度化や脱炭素を背景として、ボールねじに対しても、位置決めの高精度化と省エネルギー化のニーズが高まっている。

工作機械におけるボールねじの搭載位置

 ボールねじは、駆動時に動摩擦トルクによって発熱し、ねじ軸が熱膨張することで、位置決め精度が低下する。発熱による精度 低下を防ぐために強制冷却発生した熱を付属装置等で冷却を用いる場合があるが、冷却装置等の稼働に伴い余分な消費エネルギーが発生。そのため、高精度化と省エネルギー化の両方を実現するためには、動摩擦トルクそのものを低減することが必要。しかし、従来技術では動摩擦トルクを低減すると、それに伴い剛性も低下しナットが変位しやすくなるため、加工精度が低下する、という課題が発生していた。そのため、剛性は維持したまま、動摩擦トルクを低減する技術が求められている。

2.開発品の技術
 NSKの解析技術で、ボールと溝の接触状態を解明し、最適な内部仕様を開発、これによりボールねじの寸法はそのままに、剛性を維持しながら動摩擦トルクを低減することができる。

3.開発品の特長
 寸法はそのままに、動摩擦トルクと発熱の低減を実現。
 1)動摩擦トルクの低減:剛性は従来同等で、動摩擦トルクを従来比最大50%低減
 2)発熱の低減:動摩擦トルクの低減により、ボールねじ駆動時の発熱(温度上昇値を従来比最大40%低減)

発熱試験の結果(左)と、試験時の温度分布の様子(右)

4.工作機械へもたらす効果
 1)位置決めの高精度維持:発熱の低減により、従来品に対して軸の伸び量を最大40%低減し位置決め精度の低下を軽減
 2)省エネルギー:従来品に対して、動摩擦トルクによるCO2排出量を最大50%削減

動摩擦トルクによるCO2削減効果の試算結果例(NSK調べ)

<試算条件>
・ボールねじ仕様:軸径φ40mm、リード10mm、全長1400mm
・使用期間:5年
・平均回転数:400min-1
・電力CO2排出係数:0.4641kg−CO2/kWh(使用時に適用)

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