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2025/2/13

【帯電防止用傷防止コーティング剤】松尾産業、開発・販売開始

 松尾産業はPEDOT/PSS材料を用いた帯電防止コーティング剤を開発・販売を開始する。PEDOT/PSSは帯電防止材として半導体のクリーンルームなどさまざまな場所で活用されている。同社ではこれまで個々のニーズに合わせて材料提供を行ってきたが、需要の高まりを受けコーティング剤としてもPEDOT/PSSの販売を開始する。

 開発した製品は帯電防止機能に加え、傷防止の効果を付与した。帯電防止による埃などの汚れの付着を防止するだけではなく、傷をつきにくくすることで製品の美観性を保つ。高機能化が進む壁材や床材などの建材、PETフィルムなど軟包装材での活用が見込まれる。従来は2工程に分けて行っていた処理をワンコートで完了でき、製造工程の簡素化とコスト削減に貢献する。
 また、弾性変形により、傷を自己の力で修復する自己修復性塗料を採用。傷防止には硬さにより物理的な損傷を抑制するハードコートが多用されているが、自己修復性塗料はウレタン樹脂をベースに構成されているため、ハードコートにはない加工性や柔軟性を有し、これまでにない製品への用途展開も期待できる。
 松尾産業ではCV500シリーズを製造するクレバのPEDOT/PSSを取り扱っている。クレバは国産での原液製造とポリマーインク製造の量産体制を持っている希少なポリマーメーカーであり、ユーザーニーズへの対応を強みとしている。今後もマーケットや用途に合わせた開発を進めていく。
帯電防止用 傷防止コーティング剤の製品概要>
 PEDOT/PSS(Poly(3,4-EthyleneDiOxyThiophene)/Poly(4-StyreneSulfonate[A1] ))材料を用いた帯電防止コーティング剤。プラスチック基材に帯電防止機能を加え、傷防止効果を付与する。
■特 長
・ 2つの機能を1つの製品で
 本製品は、帯電防止機能と傷防止機能を同時に実現。従来は2工程に分けて行っていた処理を、ワンコートで完了できるため、作業効率・コスト低減に貢献する。
・ 高い透明性
 透明なプラスチック基材に対して、高透明な帯電防止層を付与することができる。
・ 幅広い基材に対応
 PE・PET・PP・PMMA・ABS・PC・ナイロン系など、さまざまなプラスチック基材への接着性に優れており、幅広い用途に対応できる。
・ 優れた耐久性
 一般的な使用環境下において、表面の保護機能を維持する。

■製品データ

■自己修復性塗料の仕組み
 自己修復塗料は、弾性変形による自己修復機能を有している。塗膜表面に外力が加わると弾性変形が生じ、塗膜内部に応力が発生、この応力は塗膜内に分散した分子間の相互作用エネルギーに変換され、弾性エネルギーとして蓄えられる。その後、この弾性エネルギーが復元力となって働き、塗膜を元の状態に戻すことで自己修復が実現する。

■期待される用途
 本製品は、建材装飾分野をはじめ、さまざまな分野での活用が見込まれる。例えば、壁紙や建材に本コーティング剤を施すことで掃除性が向上し、傷もつきにくくなるため、長期間にわたって美しい外観を維持できる。これにより、メンテナンスコストの削減や製品の長期使用が可能となり、サステナブルな社会の実現に貢献すると考えられる。

カテゴリー
コンバーティングプロダクツ&テクノロジー

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