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2024/10/21
【成長戦略】エボニック、塗料・接着剤樹脂部およびヘルスケア部の大幅な組織再編実施
エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン、以下「エボニック」)は、将来の成長を確実にするため、塗料・接着剤樹脂部およびヘルスケア部の再編を行う。今後この2つの事業部では、各部の中核事業に的を絞った投資を集中的に行う。それ以外の事業については、新たな所有者に売却するか、パートナー企業との共同事業に組み入れる。いずれの場合も、社会的責任を果たす形で進めていく。この再編により影響を受ける事業の売上高は、合計で3.5億ユーロ。
取締役会長のクリスチャン・クルマン(Christian Kullmann)氏は、「私たちの業界では、抜本的な構造改革が世界中で進んでいるため、エボニックはすべての経営資源を最も得意とする事業に集中させ、その変化に対応していきます。そうすることで初めて、市場における成長機会を必要なスピードでつかむことができるのです。逆に言うと、当社でしっかりとした展望を提示できない事業については、エボニック以外で解決策を講じることになります」と述べている。
今後、ヘルスケア部は成長分野であるmRNA用脂質および遺伝子治療、ドラッグデリバリーシステム、細胞培養培地用素材に注力していく。ドイツ・ハナウで行っている医薬品用ケト酸の生産は、2025年末に中止を予定しており、その影響を受ける約260名の従業員には、エボニック内外で新たな選択肢を探せるよう積極的に支援する。フランス・アム(HAM)および中国・武鳴県(Wuming)を製造拠点とする同事業については、戦略的に複数の選択肢について評価を行っている。近年、アミノ酸とケト酸の事業全体では、平均して約1億ユーロの売上高を計上している。
ニュートリション&ケア部門の責任者であるカスパー・ガメリン(Caspar Gammelin)氏は、「当社のアムおよび武鳴県の拠点で積極的に取り組んでいるアミノ酸とケト酸の事業は強力で大きな可能性を秘めているため、これらを閉鎖することは考えていません。両拠点に投資することで、事業はポテンシャルを最大限に発揮し、発展する可能性があります。そのため、事業の発展につながるようなパートナーシップや売却などの選択肢を検討しています」と述べている。
塗料・接着剤樹脂部も同様の方針で再編を進めている。今後は、接着剤やシーラント、タイヤ用添加剤としての液状ポリブタジエンと、医療技術や包装業界向けの特殊アクリル樹脂という2つの中核分野に注力する予定。同部で約1億ユーロの売上高を計上するポリオレフィン事業は、エボニックのC4チェーン事業に移管される。これにより、ドイツ・マールを拠点とする2つのユニットにおけるサプライヤーとの緊密な関係をさらに活用することができる。将来的にC4チェーン事業の一部として売却される予定。コーティングおよび接着剤用途のポリエステル事業は、新たな所有者に売却されることになる。同事業は、ドイツと中国に約330人の従業員を擁し、グローバルに展開している。また、最大の拠点はドイツ・ヴィッテンにあり、約250人の従業員が働いている。上海にも従業員約30人の小規模工場があり、事業全体で年間約1.5億ユーロの売上を計上している。同事業を含むスマートマテリアルズ部門の責任者であるローレン・ケルセン(Lauren Kjeldsen)氏は、「当社は、ポリエステル事業について幅広い専門技術を有していますが、長期的に世界での競争で勝ち残り、必要なマージンを得るには投資が不可欠です。ポリエステルを中核事業とする企業なら、これをより効果的に実現できるはずです」と述べている。売却先となる企業の調査は、今年中に開始する予定。
エボニックの最高人事責任者兼労務担当取締役のトーマス・ヴェッセル(Thomas Wessel)氏は、「事業を新しいオーナーに譲渡する場合も、個別に事業を停止する場合も、私たちは常に従業員代表に積極的に参画してもらいながら、社会的責任を果たす形で実施しています。事業売却の際も、投資家を慎重に選び、会社の将来と従業員の幸福を常に念頭に置いています」と明言している。また取締役会長のクリスチャン・クルマン(Christian Kullmann)氏は、「2つの事業部の再編は、当社のアプローチを象徴しています。つまり、自社の強みに集中することで、エボニックに内在する成長の可能性を引き出すことができるのです」と述べている。
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