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2024/1/5

【曲がる太陽電池】PXP、量産技術検証のためのパイロットライン稼働開始

 次世代太陽電池で世界に挑戦しているスタートアップ、PXPは、「曲がる太陽電池」の量産技術検証のためのパイロットラインを完成させ、稼働を開始した。
 極薄の金属箔基板上に、量産性に優れるスパッタ法をベースとした新製法を用いて太陽電池を形成し、「曲がる太陽電池」を実現した。現在、同社はペロブスカイト材料とカルコパイライト材料のタンデム構造を用いた高効率な「曲がる太陽電池」を研究開発しているが、まずはパイロットラインにおいては、カルコパイライト材料を用いた「曲がる太陽電池」の量産化に注力する。
 同社は製造プロセスをゼロベースで見直し、従来法と比較して、生産速度5倍以上、設備投資3分の1以下が見込まれる新製法を開発した。これにより、製造コストを大幅に削減し、「だれでも」手軽に利用しやすい「曲がる太陽電池」を実現し、広く普及させることを目指す。パイロットラインでは新製法の量産性を検証するとともに、さまざまな分野の潜在マーケットにおける実証試験用サンプルを作製する予定。
▽生産速度がはやい
 新製法では熱容量の極めて小さい極薄金属箔基板を用いることで、加熱・冷却が迅速になりアニールプロセスにかかる時間が大幅に短縮された。また、工程数を削減するとともに、常圧と真空を交互に繰り返す複雑なプロセスを排除し、一気通貫で製造できるプロセスを採用することで、全体のプロセス時間が大幅に短縮された。新製法では、これらの革新により、従来法の5倍以上の生産速度が見込まれる。
▽設備投資の削減
 
新製法では製造設備がコンパクトになりスペースが大幅に削減される。また同時に、量産工場の建屋サイズもコンパクトになる。また、製造プロセスに特殊材料ガスを使用せず、さらに、カドミウムを含む化学溶液や有機溶剤等の有害な材料も使用しないため、安全設備、除害設備なども大幅に削減される。新製法では、これらの革新により、設備投資が従来法の3分の1以下に削減されると見込まれる。
 同社は2020年の創業以来、亀田 繫明 代表取締役社長のリーダーシップのもと、「軽くて曲がる、割れないソーラーパネル」を開発してきた。この度、実証フェーズへとシフトチェンジするにあたり、今年より栗谷川 悟新代表取締役社長のもと、いち早く新技術の社会実装を目指す。
 代表取締役社長:栗谷川 悟は以下の通り話している。
 「軽くて曲がる、割れないソーラーパネルを開発したことで、さまざまな分野から、多くの引き合いを頂いております。本年は、量産技術の検証とともに、これらの新しいアプリケーションにおける実証試験を着実に進め、早期の社会実装を目指して参ります。また、技術は成長の源泉であります。今後も技術革新の手を緩めることなく技術に磨きをかけ、国産ソーラーパネルの普及を目指します」
【株式会社PXPについて】
 ソーラーパネルのデバイス研究と量産技術開発の豊富な経験を持つ技術者が集まり、2020年に相模原市に設立したグリーンテック開発のスタートアップ。
 クリーンなエネルギーをいつでも どこでも だれでも自由に使える世界を目指して、世界初の方法でペロブスカイト/カルコパイライトのタンデム構造を用いた、軽くて曲がる、割れないソーラーパネルや全固体電池一体型ソーラーパネルの研究開発を行っており、2024年より量産技術パイロットラインが稼働した。
タンデム太陽電池:分光感度の異なる複数の太陽電

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