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2024/9/10

【有機EL素子】東陽テクニカ、有機 EL 素子の超低輝度における挙動を調べる検査技術を開発

 東陽テクニカは、東陽テクニカ米国子会社のTOYOTech LLCが、シャープディスプレイテクノロジー、国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学と共同で、有機EL素子の超低輝度における挙動を調べる検査技術を開発した。同技術は、有機EL素子に急激に電流が流れ始める電圧と発光開始電圧の差が素子の劣化に伴い大きくなることに着目して、この差を数値化するもので、長寿命化が要求される有機EL素子において、劣化や低輝度で発生する表示ムラの解析に役立つことが期待される。同技術について、8月に韓国で開催されたディスプレイに関する国際会議International Meeting on Information Displayにて、三者による共同発表を行った。
 2024年10月1日には、「DCM1000型DC-JVL測定システム」として、米国や日本をはじめとしたアジア圏、ヨーロッパ圏に向けて、TOYOTechが販売を開始する。

背景/概要
 有機EL※1素子は、数十nmの薄膜を多層に積み重ねて形成されており、この薄膜の成膜条件の最適化を行うために特性評価がある。この特性評価は、J-V-L(電流密度-電圧-輝度)特性と呼ばれる電圧を印加しながら素子に流れる電流と発光輝度※2の同時測定を行うのが一般的。しかしながら、J-V-L特性では、素子の発光開始時における微小電流と低輝度については、装置の感度の限界から測定がでなかった。
 今回開発した技術では、有機EL素子に流れる微小電流(変位電流)と、高感度のシリコンフォトダイオードによる発光強度の同時測定を行い、急激な電流変化が発生する電圧と発光開始電圧の差を検出して、解析を行う。また、超低輝度のみならず高輝度での電流、発光強度についても範囲を常に最適化しながら一貫して測定を行うことができる。有機EL素子の劣化で発生する表示ムラの解析に活用でき、有機EL素子のさらなる性能向上に寄与する。

・製品ページ:https://toyotechus.com/lab-dcm1000/ (TOYOTech Webサイト内)

※1: 有機化合物(有機EL素子)に電圧を加えることで起こる発光現象。この現象を用いることにより、薄くて軽く、低消費電力のディスプレイが実現できることから、テレビやスマートフォンなどで活用が進んでいる。有機EL素子自体が発光することで発色するため、液晶ディスプレイに比べ構造も単純になる。

※2 :有機EL素子から発する光の明るさの度合い。単位はcd/m2(カンデラ毎平方メートル)。



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