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2024/7/22

【核融合炉】マイクロ波化学、MiRESSOよりベリリウム製造実証におけるマイクロ波加熱反応器の設計・製作受注

 マイクロ波化学は、MiRESSOより、同社が進めるベリリウム製造実証におけるマイクロ波加熱反応器パイロット機の設計および製造を受注した。今後、MiRESSOは本装置を用いて実証を進め、マイクロ波化学は実機導入に向けたスケールアップ実証に協力していく。
 ベリリウムは、核融合炉の燃料であるトリチウムをブランケット内で自己生産するために必要な中性子増倍材であり、核融合炉実現に向けて不可欠な金属。従来、ベリリウムの精製におけるベリリウム鉱石の溶解工程においては、2000℃もの高温で溶融・急冷することによって鉱石をガラス構造に変化させるガラス化処理や、その後900℃、250℃といった複数回の高温加熱処理が必要であった。当該プロセスは大量のエネルギーを消費し、CO2も排出されるという課題がある。
 量子科学技術研究開発機構(QST)六ヶ所フュージョンエネルギー研究所とマイクロ波化学は、上記の課題解決に取り組むために、2021年12月22日、マイクロ波加熱を用いたレアメタルの精製技術に関する共同研究契約を締結して活動を進めてきた※1。省エネ・CO2削減を可能とする新たに開発された低温精製技術により、溶解が困難なベリリウムの実鉱石ベリルを溶解することに成功した※2。
 2023年に設立されたQSTの認定ベンチャー企業であるMiRESSOは、従来の課題を克服するため、上記の低温精製技術を基に、低温精製技術実証およびその社会実装におけるベリリウム製造実証を進めており、令和4年度補正予算「中小企業イノベージョン創出推進事業(文部科学省分)」(SBIR)の核融合分野において、「核融合炉用ベリリウム資源安定確保に係る低温精製技術実証」のプロジェクト名で採択を受けている。
 この度、マイクロ波化学はMiRESSOより、さらに大きいスケールでベリリウム製造実証を進めるため、マイクロ波加熱反応器パイロット機の設計・製作を受注した。マイクロ波化学にて、設計・製作した当該設備をMiRESSOに納品・設置する。

マイクロ波加熱反応器パイロット機のイメージ図

 引き続き、マイクロ波化学はベリリウムに関する低温精製技術のスケールアップおよび核融合炉早期実現に貢献していく。
*1 2022年1月20日発表 「マイクロ波加熱を用いたレアメタルの省エネ精製技術の社会実装を加速-量研とマイクロ波化学が実証試験の共同研究契約を締結-
*2 2023年3月30日発表 「マイクロ波加熱を用いた省エネ・CO2削減精製技術によりベリリウム鉱石の溶解に成功-汎用性の高い精製法として社会実装により、核融合発電の実現を加速-

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