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2025/11/28

【機能性ポリマー】大塚化学、クラレから制御重合技術を導入し新プラント建設に着手

 大塚化学は、機能性ポリマー事業の抜本的強化に向けて、新たな技術を獲得し、生産能力の拡大を図るため新プラント建設に着手した。

 同社は、クラレとの間で、クラレが保有するアクリル系ブロック共重合体「クラリティ」に関する知的財産権の一部の譲受および製造技術の導入支援の契約を締結した。

【大塚化学徳島工場 TERPLUS第2プラント】


 【新プラントの概要】
 建屋:地上4階
 延べ床面積約1,546.88m2
 稼働開始日:2027年5月

 今回導入する技術は、クラレが独自に開発し長年事業展開してきた「クラリティ」にかかわるリビングアニオン重合技術。独自の触媒システムにより、分子量分布が極めて狭く、高純度なポリマーの製造が可能となる。透明で、軟質から硬質材料まで幅広い形態をとりうるアクリル素材であり、各種改質剤、添加剤、粘着剤、成形材料などに使用されている。

 一方で、大塚化学も、従来から、独自に開発したリビングラジカル重合法(TERP法)を用いた機能性ポリマー「TERPLUS」を展開してきた。「クラリティ」と同じアクリル系の制御ポリマーだが、異なる特徴や機能を発現する。
 今回の技術導入により、リビングアニオンとリビングラジカルという2つの制御重合技術を保有し、両技術を融合することで、顧客ニーズに応じた今までにない高機能なポリマーの提案が可能となる。

 今後は、「クラリティ」のお客様に対する代替製品の供給準備を進めつつ、新グレードの開発を通じて、特に技術進化が求められる半導体をはじめとするエレクトロニクスや医療などの分野において、顧客のニーズ解決に向けた革新的なソリューションを提供し、共に次世代製品の創造を目指していく。

 大塚化学では、これまで2014年に建設した第1プラントにて生産している「TERPLUS」が、液晶ディスプレイ用カラーフィルター向け顔料分散剤として大きく成長してきている。今後、世界市場の拡大に期待されているインクジェット印刷分野におけるインクの分散剤としても需要の高まりを見せており、さらにバイオ医薬原薬の精製用途として、新たな中空糸膜においても需要が見込まれるため、大塚化学徳島工場内に第2プラントの新設を決定した。

 この第2プラントは、2027年より稼働を開始する。同プラントは、多様なニーズに応えるため、従来の有機溶媒系ポリマーに加え、水系ポリマーの製造も可能にした。環境対応が求められる、水系塗料や水系インクへの期待にも応えられる多機能多用途対応型プラントである。

 大塚化学は、機能性ポリマー事業分野で、2種類のリビング重合技術を拡充させることにより、多機能化の技術バラエティーを加えることに成功した。これにより、高機能で高付加価値なポリマーとして、他社ができない機能を顧客のニーズに沿って発揮できるようになる。今後も顧客ニーズに寄り添ったカスタマイズ製品を開発・供給していく。これからも「ユニーク」な化学製品を通じて、「素材のチカラ」を「KATACHI」にする会社を目指し、社会に貢献する考えだ。

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