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2026/3/5

【水素透過膜】田中貴金属工業、100℃前後で高い水素透過性能を示す高性能パラジウム水素透過膜の開発に世界で初めて成功

 田中貴金属の産業用貴金属事業を展開する田中貴金属工業は、100℃前後の低温領域で使用可能なパラジウム(Pd)水素透過膜「HPM-L111」の開発に成功した。100℃前後の低温領域において高い水素透過性能を示す世界初※1の金属膜で、サンプル提供2026年3月5日(木)以降に開始する。提供枚数は約100枚/月までの対応が可能。

 同製品については、2026年3月11日(水)~13日(金)に千葉工業大学で開催される、日本金属学会2026年春期(第178回)講演大会」にて学会発表を行う。また、2026年3月17日(火)~19日(木)に東京ビッグサイトで開催の「H2 & FC EXPO 水素燃料電池展」にて、製品およびパネル展示を行う。

<パラジウム(Pd)水素透過膜「HPM-L111」>

 パラジウム水素透過膜は、水素を吸蔵・透過させる特性を持つパラジウム合金を薄膜化した製品で、高純度水素の分離・精製に用いられる。一般的に、金属膜で水素透過を実現しようとすると高温(300℃以上)で使用する必要があった。同社は、膜の表面に特殊な処理を施すことで、100℃以下の低温領域でも高い水素透過性能を引き出すことができる金属膜の開発に成功した。

■金属膜による水素精製の課題と「HPM-L111」開発の背景

 従来品の「PdCu40」(パラジウム含有率が60%、銅含有率が40%の合金)は、PdCu系合金膜の中で最高水準の水素透過性能を有する。しかし、本来の性能発揮には400℃前後の高温領域での運用が必要であり、加熱設備等の追加に伴うコスト増が長年の課題であった。また、近年は水素関連技術の発展に伴い、100℃以下の低温領域における金属膜による水素透過ニーズが高まっている。一方で、金属膜は一般的に、200℃以下になると表面から内部への水素侵入速度が低下するため、従来の金属膜では水素透過性能が著しく低下し、実用化の課題となっていた。

 これらの課題を解決するため、「HPM-L111」では、田中貴金属が長年の貴金属素材研究開発で培った独自の表面処理技術を採用している。膜表面に微細な凹凸構造を形成し、比表面積を拡大することで、水素の侵入速度を高め、100℃以下の低温領域における水素透過性能の大幅な向上を実現した。

■「HPM-L111」の特長

  • 100℃前後の低温領域で高い水素透過性能を発揮する
  • 100℃前後の低温領域で高純度の水素精製が可能な世界初の金属膜
  • 水素センサーの高精度化への寄与が見込める
  • 機器内に発生する水素除去を高速で行うことが可能
左から、<従来品「PdCu40」の断面図> <「HPM-L111」の断面図>
<「HPM-L111」と従来品の比較および推奨用途一覧>
<HPM-L111の水素透過係数の温度依存性>

 100℃以下の低温領域における高純度な水素透過用途として、水素センサー、燃料電池、真空装置の水素除去などが想定される。水素センサーにおいては、不要なガスを遮断することで検知精度の向上に寄与、真空装置などでは、常温・低温に近い稼働環境を維持したまま内部の水素除去を可能にする。さらに、従来不可欠であった300℃以上の加熱プロセスを不要とし、加熱エネルギーの削減を通じてカーボンニュートラルの実現に貢献する。

 

※1:2026年3月5日現在、同社調べ(水素透過膜における特許、論文調査より)

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