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2024/2/6

【水電解水素製造装置】大林組、AEM型の性能比較実証開始

 大林組は、大林組技術研究所(東京都清瀬市)に、高価なレアメタルを触媒に使用しないAEM型水電解水素製造装置(※1)を新たに設置し、水素製造効率や耐久性など、既存のPEM型水電解水素製造装置(※2)と性能を比較する実証を開始した。
 水電解水素製造装置は現在、アルカリ型(※3)およびPEM型が商用段階にある。一方で、経済産業省が水素基本戦略に掲げているように、2050年カーボンニュートラル実現に向け、AEM型などの次世代水電解技術の開発を継続し、それぞれの性能を十分に発揮できる分野での社会実装を進めていくことが求められている。
 大林組は、2018年より技術研究所において、施設内の太陽光発電で得られた再エネ電力から、PEM型水電解水素製造装置を用いてグリーン水素を製造し、純水素型燃料電池に供給することで、所内の電力需要に応じて電力を供給するシステムを構築しており、グリーン水素の製造、利活用を実現する環境が整備されている。
 今般、自社施設で水電解水素製造装置の性能比較実証を開始することで、さまざまなニーズに適したシステムの構築や運転管理などの知見獲得を進める。
 AEM型水電解水素製造装置は、アルカリ型の弱点である生成水素の純度、安全性、入力電力負荷および間欠運転の制限を克服できるうえ、水素製造のシステムがシンプルで、メンテナンスが容易。また、PEM型と比較した場合でも、触媒に用いられるレアメタルが不要なため導入コストの削減が図れ、同等以上の性能を発揮することが期待されている。

水電解水素製造装置の比較

 今回の実証では、技術研究所の水素製造フローにAEM型とPEM型の水電解水素製造装置を配置し稼働することで、改めて水素製造効率や水素製造にかかる運用コストなどの性能比較を行い、AEM型の優位性を確認する。そして、AEM型を使用した水素製造システムを構築した際に、想定されるニーズに対する有効性を評価するため、装置の耐久性検証や運用時における課題抽出などを行う。

AEM型水電解水素製造装置 水素製造フロー図

 大林組は、水素をエネルギーとして利活用するため「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」というサプライチェーンの構築を目指している。今回の実証を通じて得られた知見やノウハウをユーザーニーズに適した各種水電解水素製造装置の導入支援に活かし、グリーン水素の普及を推進することで、脱炭素社会実現に貢献していく。
※1 AEM型水電解水素製造装置:アニオン交換膜(正極と負極間で水酸化物イオン(OH-)をやり取りするためのイオン交換膜)を用いた水素製造装置
※2 PEM型水電解水素製造装置:プロトン交換膜(正極と負極間でプロトン(H+)をやり取りするためのイオン交換膜)を用いた水素製造装置
※3 アルカリ型水電解水素製造装置:アルカリ溶液と電力で水素・酸素を製造する水素製造装置

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