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2024/1/19

【海洋生分解プラ】日本触媒、NEDO事業で包装・農業用途向け高ガスバリア性素材を開発

 日本触媒国立研究開発法人理化学研究所環境資源科学研究センター バイオプラスチック研究チーム(阿部英喜 チームリーダー、竹中康将 上級研究員ら、以下「理研」)は、2021年度から参画しているNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」(※1)(以下「本事業」)において、新規海洋生分解性プラスチックの開発に成功した。

表:プラスチックの各環境での生分解性

 プラスチックは軽量かつ丈夫で加工性に優れるため、日常生活の利便性等をもたらす素材として幅広く活用されているが、化学的安定性の高さから自然環境下では分解しにくく、海洋に流出したプラスチックによる海洋汚染が深刻化している。現在、生分解性プラスチックは一般的でないうえ、陸域の土壌又はコンポストでの分解を前提としたものが主流で、海洋生分解性のあるプラスチックはごくわずか。同事業では、海洋で生分解されるプラスチックを開発し社会実装することで、将来的に新たな海洋プラスチックごみ発生ゼロの一助となることを目指し世界に先駆け研究開発を行っている。
 日本触媒と理研は、ポリエチレンサクシネート(PES)を基本骨格とするポリマーに焦点を当て、新規海洋生分解性プラスチックの構造設計および開発を進めてきた。PESは、高いガスバリア性をもち、土壌や河川で生分解されることが特徴である。日本触媒は過去にPESのパイロット生産を実施するなど製造ノウハウを有していますが、PESは海洋で分解されにくいことが課題であった。そこで、海洋生分解性プラスチックに関する豊富な知見を持つ理研と連携し、PESの特徴を有する海洋生分解性プラスチックの開発を進めた。
 今回、日本触媒と理研は、PES骨格に長鎖ジカルボン酸※5ユニットを導入したポリマーが、海洋で容易に生分解されるセルロースと同等の海洋生分解性を発現することを見出した。このポリマーからなる新規海洋生分解性プラスチックは、高いガスバリア性などPES本来の特徴を有するとともに、ポリマー中に導入するユニットの組み合わせによって幅広い機械特性を発現する。これらの特性から、包装材料や農業関連資材、土木建築資材など様々な用途展開が期待される。今後、スケールアップ検討によって量産体制の確立を進めるとともに、その用途開発を加速する。
 また、PESを基本骨格とするポリマーに天然アミノ酸ユニットを組み込んだ新規化学構造を有する海洋生分解性エステルアミドポリマーについても本事業内で開発しており、こちらも高機能な海洋生分解性プラスチックとしての展開を検討していく。

図1:海水(25℃)を用いたBOD生分解試験結果 図2:酸素透過率結果(23℃、ドライ条件)
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