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2024/5/16

【液体クロマトグラフ向けソフトウェア】島津製作所、独自のAIアルゴリズムで解析時間を1/4にする「Peakintelligence for LC」発売

 島津製作所は、5月16日にAI(人工知能)を用いて開発したアルゴリズムを搭載する液体クロマトグラフ(LC)向けソフトウェア「Peakintelligence for LC」を発売した。同ソフトウェアは、味の素のLC分析データを学習させたアルゴリズムを搭載しており、熟練者と同等(一致率約90%)の解析を自動実行することで解析時間を従来と比べて約75%削減する。同社は良質な分析データを用いたアルゴリズムの開発・改良を目指しており、味の素の「属人性を排除した解析フローを確立したい」という要望を受けてこのたびの協業に至った。同ソフトウェアは、医薬品・食品・化学分野の研究開発および品質管理用途で島津製作所LCを使用するユーザーに向けて販売する。

「Peakintelligence for LC」画面イメージ

 LCは医薬品や食品、化学を始め幅広い分野で活用される分析装置。従来、設定したパラメータ※1に基づいてソフトウェアがデータ中のピーク※2を波形処理※3する。目的以外の成分が多く含まれる場合などにはピークを上手く認識できないため、ユーザーが手動で修正する。適切なパラメータの検討には時間を要し、手動による修正はユーザーのスキルや主観に依存するため、結果にばらつきが生じることが課題であった。
 「Peakintelligence for LC」は、味の素から提供された「ヘルスケア」「フード&ウェルネス」「グリーン」分野のLC分析データをアルゴリズムに学習させて、多様な分野のデータ解析に対応した。ユーザーによるパラメータの検討・設定は不要で、効率的かつ属人性を排除したワークフローを実現する。島津製作所は2019年より独自のアルゴリズムを搭載したソフトウェア「Peakintelligence」シリーズを販売している。味の素は創業以来100年以上にわたりアミノ酸に関わる研究を進め、その強みを生かして幅広い事業を展開している。今後も、島津製作所は味の素との協業を通じて、人と地球の健康に貢献するシナジーを創出していく。

 「Peakintelligence for LC」の特長は次の通り。
1. 味の素の分析データを学習したアルゴリズムが多様な分野の解析に対応
 味の素の研究者が波形処理した分析データを活用して開発した。同社の強みである「ヘルスケア」「フード&ウェルネス」「グリーン」における豊富な分析データをアルゴリズムに学習させたことで、多様な分野の分析データを自動解析する。
2. 誰でも高品質な解析結果を取得可能に
 ユーザーによるパラメータの検討・設定が不要であるため、経験が少ないユーザーも質の高い解析結果を迅速に得られる。人為的なミスや改ざんのリスクを低減して、属人性を排除した効率的なワークフローを実現する。
3. 解析時間を短縮、ラボの働き方改革を支援
 熟練者による波形処理と約90%一致する解析を自動で実行して、手作業による修正を減らす。解析時間を従来と比較して約75%削減することで、ユーザーはより創造的な業務に専念でき、研究現場の働き方改革につながる。

 販売価格は66万円~(税抜き、LC制御用ソフトウェア「Labsolutions LC/GC」は含まない)、販売目標は発売後1年間で国内外合わせて40本。
※1 分析機器で得られるクロマトグラム(波形の測定結果)の山部分。高さや面積が化合物の存在量を示す
※2 ピークに対して行う信号の基準となるベースラインの設定やピークとして認識する位置の調節
※3 ピークの始点と終点を検知するための条件

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コンバーティングプロダクツ&テクノロジー

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