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2024/11/7

【液状封止材】レゾナック、特許維持が決定

 レゾナックが保有する液状封止材に関する日本国特許(特許第7343977号)は、第三者から特許の有効性に関する異議の申立てを受けていたが、2024年6月19日に、特許庁により有効と判断された。この特許に係る技術は、大型化するAI(人工知能)向け先端半導体パッケージの性能向上に貢献するもので、レゾナックは同技術を適用した製品について2024年10月から販売を開始し、採用が広がっている。

 近年、AI技術の進化に伴い、高速な演算処理を行うプロセッサや、大容量のデータを即時に処理できる半導体メモリが求められている。これらの要求に応えるため、先端半導体パッケージは、機能の異なるチップを混載したり、複数のチップを3次元積層したりすることで、電子信号のやり取りをより高速で効率的に行っている。このような先端半導体パッケージのチップやインターポーザー基板(*1)は、小さな突起状の電極端子(バンプ)を介してパッケージ基板と接続されているが、その間には隙間が生じます。液状封止材は、その隙間(ギャップ)を充填することで、温度や湿度の影響や機械的な外力から半導体パッケージを保護している。

液状封止材

 上記のような先端半導体パッケージは、チップの混載、三次元積層によって、大型化する傾向にある。そして、大型化したパッケージ向けの液状封止材には、①温度サイクルやリフロー(*2)などの熱履歴に対する高信頼性、②低粘度かつ使用可能時間が長く良好な作業性、といった高い性能が求められている。

 液状封止材は、樹脂、硬化剤、ゴム粒子などの原料から構成されており、同社は、独自の樹脂合成技術や配合技術を適用することで、当社従来品よりも硬化後の破壊靱性(*3)および接着性に優れ、作業性の良い液状封止材を開発し、2023年に本液状封止材に係る発明の特許を取得した。その後、2024年2月に第三者から異議の申立てがあったが、特許庁による審理の結果、特許維持の決定が下された。
 同特許は、活用される市場がグローバルであることを視野に入れ、米国、中国、韓国および台湾地域でも権利化されている(*4)。

*1 機能の異なるチップ同士を配線でつなぎ、貫通電極によってパッケージ基板につなぐために用いられるサブ基板のこと
*2 高温下で溶接することにより、部品同士を接続し、電気信号を伝達できるようにするプロセスのこと
*3 亀裂・亀裂状の欠陥を有する材料に、力学的な負荷が加わったときの破壊に対する抵抗
*4 日本特許7343977号、米国特許11059966号、中国特許ZL201780025782.6号、韓国特許10-2504140号、台湾特許I692503号 I737245号

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