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2024/5/31

【温室効果ガスアナライザー】島津製作所、析計測技術でカーボンニュートラル実現に向けた研究支援

 島津製作所は、5月30日に、「温室効果ガスアナライザー」を発売した。同製品は、気候変動の要因とされる温室効果ガス(GHG)測定用に特化したガスクロマトグラフ(GC)で、GHGの95%以上を占める、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)の3成分を一度に測定できる。同社は本製品を通じて、GHG測定が必要な農業分野などあらゆる分野で、高精度かつ高効率に分析データを提供する。なお、本製品は農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)の特許※1を利用して開発した。
 グリーントランスフォーメーション(GX)に向けて様々な業界で大気中のGHG成分の測定が求められており、CH4とN2Oの人為的発生源として最大の農業分野では、「土壌へのGHGの吸収量を増加させる土壌改良剤の探索」や「GHG排出を抑制する土中微生物の活用」などGHG削減につながる研究が進められている。また、GHG排出削減量や森林などへのGHG吸収量をクレジットとして国が認定するJ-クレジット制度やパートナー国間でGHGの削減・吸収量をクレジット化して取り引きする二国間クレジット制度では、GHG削減手法の妥当性を裏付けるためGHGの測定が求められる。これらGX技術の研究進展により、複数のGHGを一斉に測定できるGCの需要が増加している。
 本製品は同社主力製品であるGCのハイエンドモデル「Nexis GC-2030」と、農研機構のGHG3成分同時分析に関する特許技術を組み合わせたシステムで、3個の検出器とカラム※2を搭載して、GHG3成分を一斉かつ安定して測定できる。また、サンプル容器として、従来のガスバッグに加えてより小さいバイアル瓶も使用でき、最大108サンプルの連続分析を可能にする。加えて「温室効果ガスアナライザー」は「Nexis GC-2030」をベースとしているため、キャリアガスが切れた時の予備ボンベへの自動切り換え機能、自動停止・起動機能など、優れた操作性を引き継いでいる。GXの研究で求められる精度と業務効率の高いGHGの分析が実現可能。
 島津製作所は中期経営計画において、GXを社会価値創生領域の1つと定め、当該領域における社会課題の解決に注力していう。同社は今後も様々な分析計測技術を提供して、カーボンニュートラルの実現に貢献する。
※1 「大気ガスの測定方法及び装置」特許第4406694号および特許第6843395号(発明者:農研機構農業環境研究部門緩和技術体系化グループ須藤重人グループ長)
※2 サンプルの分離に使われるクロマトグラフの部品
<特長>
(1)3成分を1回の注入で安定的に計測
 温室効果ガス(GHG)の大半を占める、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)を一度に測定できる。従来は、3成分を同時分析できず、分析対象成分の数に応じて分析を繰り返す必要があった。本製品は、農研機構の特許を用いて、複数のカラムと検出器により同時分析を可能にした。また、大気中の夾雑物をカラムに入れない「プレカットシステム」を採用。流路内部に大気中水分などが入り込むことによるカラムの劣化を防ぎ、分析データの安定性を高める。
(2)多検体に対応可能で分析効率が向上
 農業分野では、耕作地でのGHG排出量測定の需要がある。広大な場所での排出量の経時変化を調べるには、多数のサンプルの分析が必要。本システムは従来のガスバッグによる方式に加え、より小さく運びやすいバイアル瓶での分析も可能。オートサンプラー(オプション)の使用により最大108検体を連続分析でき、分析効率が向上する。
(3)「Nexis GC-2030」のユーザ支援機能を継承
 分析に用いるキャリアガスの供給をソフトウェア上からコントロールして、無人の状態で装置の起動・停止を行える。夜間などの装置を使用しない時間帯に電力・ガスの消費を抑えて、次回の分析に備える。また、別売の「ガスセレクタ」 を取り付けると、キャリアガスの供給が急に停止した場合は予備ボンベに自動的に切り替わるため、ガスが流れない状態でのカラムへのダメージを防ぎ、ダウンタイムを削減する。
 「温室効果ガスアナライザー」の希望販売価格は1,448万円~(税別)、目標販売台数は発売後1年間で国内外合わせて15台。

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コンバーティングプロダクツ&テクノロジー

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