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2025/1/12

【COATING】REMAREと竹正、リサイクルプラスチック板材へのコーティングにおいて業務提携

 REMARE竹正は、伝統的な漆の塗装技術とリサイクルプラスチック板材を組み合わせた新たな製品・サービスの創出を目指し、業務提携を結ぶことを発表した。この提携を通じ、より高クオリティな板材提供の実現が可能となる。また、伝統技術の新たな活用につながる。

提携の背景

 REMAREは、リサイクルプラスチックを活用した高品質な板材や建材を開発し、持続可能な社会の実現を目指す企業。一方、竹正は、竹正は江戸時代から続く尾張仏具の漆塗を担当する塗師屋で、仏像や仏具の制作・修復を中心とした塗装を行っている。
 両社は、ともに伊勢湾を中心とした経済圏で活動しており、歴史ある伝統技術と最先端素材を掛け合わせることで、新たな価値を創出するというビジョンを共有。特に、炭素固定やアップサイクルといったサステナビリティの観点での相性が高いことから、今回の提携に至った。

REMAREの取り組み
 REMAREは、伊勢湾の形状上、海流の関係で海洋ゴミが多く付着する三重県鳥羽市を拠点に、海洋プラスチックを起点とした廃プラスチックのマテリアルリサイクルを手掛けてきた企業。
 研究と実践を重ねた結果、単一素材のみならず、あらゆる種類の複合プラスチックをマテリアルリサイクルできる、独自技術の開発に成功。現在は、あらゆる企業や団体と協業しながら、企業・団体由来の廃プラスチックおよび廃材を素材に、板材を中心としたマテリアルリサイクル製品を製造している。

 REMAREの製品はデザイン性にも富んでおり、大理石などの石材を思わせる高級感の漂う製品から、カラフルでポップな雰囲気を纏う製品まで、幅広い表情の板材の制作が可能となっている。
 またREMAREは、企業由来の廃プラスチックを原料としながら、自社内で素材の回収・洗浄・粉砕・成形・加工・商品製造までを一貫して行うことにより、scope3におけるGHGの削減にも寄与している。

竹正の取り組みと技術力
 竹正は、尾張仏具の漆塗りをはじめ、文化財級の仏像や仏具の修復・塗装を手がける塗師屋として発展してきた。その伝統的な技術は、漆の厚みや仕上がりの美しさに定評があり、現代では仏具にとどまらず住宅や展示施設向けの塗装にも活用されている。
 また、竹正は名古屋市の補助金を活用し、「KISOKA」というフラッグシップ製品を展開。尾張仏具や伊勢神宮でも用いられてきた高品質な木曽産檜が、各地へと流通していく上で欠かせない水運ネットワークとなっていた、木曽川~伊勢湾沿岸の地域の3企業で提携を行うことで、ストーリー性を持たせている。刃物で有名な岐阜県関市において鉄家具製造・販売を手掛ける杉山製作所製の脚を用い、REMAREの海洋プラスチックのアップサイクル材による樹脂天板を組み合わせ、竹正の塗りの技で仕上げる形で開発を行った。
 さらに、竹正は職人文化を支える取り組みも積極的に行っている。若手職人の収入向上やキャリア支援を通じて、技術の継承と事業の持続可能性を実現。また、尾張仏具の生産を支えてきた「水の道」や、伊勢湾を中心とした経済圏の歴史を背景に、地域の経済や文化を守っている。伝統工芸と現代技術の融合を目指し、東海地域の域を超えて、日本のものづくり文化の発展にも貢献している。

提携内容

 今回の提携では、竹正の高い塗装技術をREMAREの再生プラスチック板材に適用することで、新たな価値を創出する。竹正が培ってきた下地処理の丁寧さや塗装の密着性を活かし、一般的には塗装が難しい再生プラスチック材においても、小口部分まで美しい仕上がりを実現。これにより、製品の耐久性と美観が向上するだけでなく、傷や経年劣化からの保護も可能になる。
 竹正の技術で施された塗装は、艶消し仕上げやツヤのある仕上げなど多様な表現が可能。艶消し塗装では、素材本来の質感を引き立たせるマットな表現が人気で、現代的なインテリアデザインにも対応。一方、光沢仕上げでは、大理石のような高級感を演出し、様々な用途に応じた柔軟なデザイン選択を可能にしている。

 また、両社の提携は、環境負荷軽減の観点からも重要な意味を持っている。竹正がREMAREの事業理念である「炭素固定」に共鳴する形で、その漆塗り技術を活かし、素材の保護や長期使用を支える形となっている。
 理念的な部分でも、両社には共通する部分がある。竹正が扱う「漆」とは、古来から使用されている自然素材であり、8000年前の作品も現存している。その高い耐久性を目指す姿勢と環境への適合性が、REMAREの再生プラスチック板材との親和性を高めている。
 この提携により、再生プラスチック板材を用いたプロダクトが単なる素材の再利用にとどまらず、美しさと機能性を兼ね備えた製品として、新たな市場を開拓していくことを目指している。
 伊勢湾を共通点とする両社が手を取り合うことで、地域経済の活性化にも寄与することが見込まれる。歴史ある尾張仏具の技術と、現代のリサイクル技術を組み合わせた今回の取り組みは、サステナブルな社会の実現に向けた象徴的なプロジェクトとなるであろう。

 REMAREの間瀬雅介代表取締役は次のようにコメントしている。
 「REMAREは、廃プラスチックに新たな価値を与え、長く使い続けることを目指しています。その中で、竹正の高い塗装技術と出会い、再生素材の魅力をさらに引き出せる可能性を感じました。再生プラスチック板材の特性を活かしながら、デザイン性や耐久性を向上させる竹正様の塗装技術は、私たちの製品に新たな可能性をもたらしてくれると確信しています。伝統技術とリサイクル技術が融合し、持続可能な未来に向けた価値を創出できるこの提携を誇りに感じ、高い期待を寄せています」

 竹正の竹森康二代表取締役は次のようにコメントしている。
 「通常の仕事では木材への塗装が中心ですが、REMAREの素材と出会い、異なる質感や色彩に挑戦できる新鮮さを感じています。普段から、塗装しているものは使い捨てを目的としたものではなく、ずっと長く使っていただく目的を持ったものです。塗装するものがプラスチックに変わっても、『ずっと活かるし続ける』という観点は共通しています。共通のビジョンを持つREMAREとの提携を、有意義に思っています」

今後の展望
 提携による製品は、StationAIなどの展示スペースで公開予定。また、実際の仕上がりをご確認いただけるよう、塗装板材のサンプルを1枚3000円で取り寄せることが可能。
SHOP URL:https://remare.buyshop.jp
 伝統技術と先進技術が融合した製品は、住宅建材やインテリアデザイン、商業施設の装飾素材など、幅広い分野での活用が期待できる。

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