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2026/3/3

【焼結金接合】田中貴金属工業、技術「AuRoFUSEプリフォーム」の転写技術を確立

 田中貴金属の産業用貴金属事業を展開する田中貴金属工業は、焼結金(Au)接合技術「AuRoFUSE(オーロフューズ)プリフォーム」において、金バンプ※1の転写技術を確立した。この技術により、複雑な構造の半導体チップやサブストレート※2に対してもAuRoFUSプリフォーム(金バンプ)形成を行える。

左から、<作製した金バンプ転写基板> <転写後の金バンプ>

■金バンプを転写できることによるメリット

 この技術は、事前に金バンプが形成された基板(転写基板)を作製し、そこから対象の半導体チップやサブストレートへバンプを転写する方法。転写基板として用いるシリコン基板に開口を設け、その開口部に金バンプを形成する。​​金バンプを開口部全体に充填するように形成することで、基板に保持され、ハンドリング中に金バンプが脱落する心配がない。一方、転写時には加熱により金バンプが収縮し、開口部と金バンプの間にわずかな隙間が生じる。このため、垂直方向の力を与えることで、容易に引き抜くことが可能。

 従来の金バンプ形成プロセスは、対象の半導体チップやサブストレートに直接バンプを形成する方法であるため、凹凸や貫通孔など複雑な形状を持つ対象物には、レジストの高さが安定しないなどの課題があり、対応が困難であった。

 今回の転写技術では、金バンプを別で作製し、目的の箇所にのみ金バンプを転写することができるため、複雑な形状にも適用が可能となる。また、剥離液などによるダメージが懸念され、フォトリソグラフィ※3工程に通しづらい半導体チップやサブストレートにも対応できるようになる。

【転写基板の作製および転写・接合プロセス】

①      転写基板として、シリコン基板を準備

②      シリコン基板上にフォトレジストを塗布

③      目的のパターンへ露光現像する

④      シリコン基板にエッチングで穴をあける

⑤      スキージなどを用いてAuRoFUSE™を埋め込む

⑥      AuRoFUSE™を常温・真空下で乾燥させ、レジスト上の余分な金粒子をかき取る

⑦      レジストを剥離すると転写基板ができる

⑧      金バンプを形成したい対象(半導体チップやサブストレート)を転写基板に当て、10MPa、150℃、1分の加圧加熱を行う。その後、垂直に基板を持ち上げると金バンプが転写される

⑨      転写後の基板を20MPa、200℃、10秒の加圧加熱で接合する

【従来の金バンプ形成プロセス】

■焼結金接合技術「AuRoFUSEプリフォーム」について 

 田中貴金属が開発した「AuRoFUSEプリフォーム」は、金の微粒子と有機溶剤で構成されたペースト材料を、あらかじめバンプの形状に形成する接合技術。200℃、20MPa、10秒の加圧加熱後で、圧縮方向に約10%の収縮率を示しながら水平方向への変形は少なく、実用化に十分耐えうる接合強度※4を持っている。さらに、化学安定性に優れる金を主成分としているため、実装後の高信頼性も持ち合わせている。

 胴技術は、半導体における配線の微細化・多種チップの集積(高密度化)を可能とする技術であり、 LED(発光ダイオード)やLD(半導体レーザー)といったオプティカルデバイス(光デバイス)をはじめ、パソコン・スマートフォンなどのデジタルデバイスでの活用や車載部品、MEMSなど、近年高まっている半導体の小型化や高性能化のニーズへの貢献が期待される。

 バンプ形成技術については、従来ははんだバンプやめっきバンプが主な手法とされていた。しかし、はんだバンプでは、バンプピッチの微細化に伴い、熔融時にはんだ材料が横方向に広がることで、電極間の接触によるショートのリスクがあった。また、めっきバンプは、狭ピッチ化が可能であるものの、接合時に比較的高い圧力を必要とするため、半導体チップの破損につながる恐れがあった。同技術は、これらの課題を解決し、次世代の高密度実装や光電融合デバイスへの活用を目指して開発された。

■「AuRoFUSE」および田中貴金属が手がける金材料について 

 「AuRoFUSETMは、サブミクロンサイズの粒径に制御した金粒子に有機溶剤を混ぜたペースト状の接合材料。金の融点(約1064℃)と比較して、約200℃という低温で接合できる点が特徴。

 金は電気抵抗が低く、熱伝導率が非常に高い材料。そのため、大電流を扱うパワー半導体や、発熱の大きい高密度チップにおいて、効率よく熱を放散し、エネルギー損失を抑えることができる。また、貴金属の中でも特に酸化しにくく、安定した物質であるため、実装後の腐食や、イオンマイグレーション(金属が移動してショートする現象)が発生しにくく、長期間にわたって高い信頼性を維持できる。

 田中貴金属は、創業以来培ってきた貴金属の素材開発技術を強みに、半導体分野において重要な役割を担う金をはじめとする貴金属材料の開発に取り組んできた。また、原料の調達から材料開発、製造、リサイクルまでを一貫して行う体制を有しており、限りある貴金属資源を有効に活用しながら、半導体技術の発展と持続可能な社会の実現に貢献していく。

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