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2024/5/8

【物流効率化】SOMPOリスク・OKI、ETC2.0プローブデータを活用したトラック滞留時間可視化サービスの提供を開始

 SOMPOリスクマネジメント沖電気工業(OKI)は、日本における官民ITS構想(注1)の実現に必要となる交通・物流に関する社会問題の解決を目的として、2024年4月にETC2.0プローブデータ(注2)を活用したトラック滞留時間可視化サービスの提供を開始した。また、損害保険ジャパン、SOMPOリスクおよびOKIは、2024年4月~7月までの期間、自動車事故の事故査定業務におけるETC2.0プローブデータの活用に向けた実証実験を実施する。

1.背景
 日本政府は、官民ITS構想において「国民の豊かな暮らしを支える安全で利便性の高いデジタル交通社会を世界に先駆け実現する」ことを2030年の目標として掲げている。また、交通における「安心・安全」や「利便性」などを向上させるとともに、多軸的なデータの利活用による「移動に関わるあらゆる社会課題の解決」を目指している。
 特に、物流業界においては、慢性的な人手不足により物流が停滞する2024年問題が懸念されている。この問題を解決するために、政府は荷主事業者に対して、荷待ちや荷役作業などに要する時間(滞留時間)を把握し、これらを2時間以内とすることを求めるなど、物流の効率化に向けた具体的な取り組みの方針を示している。

2.具体的な取組内容
(1)トラック滞留時間可視化サービスの提供開始
・SOMPOリスクは、2024年4月から、荷主または物流事業者が出入りする施設を保有する事業者に対して、施設を出入りするトラックの ETC2.0車載器から取得できるデータ(走行車両の精緻な位置・軌跡など)をもとに車両ごとの滞留場所と滞留時間を測定し、可視化したレポートを提供した。

・また、長時間滞留となる原因などについて、専門コンサルタントがデータを分析・調査し、解決に向けた対応を支援する。

・上記分析においては、SOMPOリスクが構内事故防止などを目的とするリスクアセスメントおよびコンサルティング業務を通じて蓄積してきた知見や関係者へのヒアリング結果に加え、OKIの持つETC2.0プローブデータの収集・蓄積・処理に関するノウハウを活用する。

・OKIは本サービスにおいて、施設を出入りする車両に限定した「ETC2.0特定プローブ情報」を取得できる事業者として、車両運行管理支援クラウドサービス「LocoMobi2.0」を提供する。

・荷主または物流事業者の物流網における各社の固有な課題(時間のかかる場所など)を特定することで、さらなる運送業務の効率化を支援する。

(2)自動車事故の事故査定業務におけるETC2.0プローブデータの活用に向けた実証実験
・損保ジャパン、SOMPOリスクおよびOKIは、2024年4月から2024年7月までの期間、ETC2.0プローブデータから自動車事故における車両のハンドリングや速度などの走行データや道路情報を取得

・分析し、より正確な過失割合を迅速に算定するためのシステムの検証を実施。

・自動車事故の査定業務においては、現在は、事故の報告を受けた際に事故地点や事故時間などの情報を事故当時者に聴取し、聴取内容に基づいた過失割合の算定などを行っている。上記取組みを通じて、2025年3月までに、自動車事故の当事者の記憶に頼らない過失割合の算定システムの稼働を目指す。


3.今後の展開
 損保損保ジャパン、SOMPOリスクおよびOKIは、ETC2.0プローブデータを活用したモビリティ事業(注3)における新サービスの開発を継続して検討していく。また、本取り組みに留まらず、移動に関する社会インフラ全体の強靭化・高度化のため、各社のデータ共用とAI活用を促進することで、より多くの商品やサービスの開発を目指す。

【用語解説】
注1:官民ITS構想
 ITSは高度道路交通システムを意味し、最先端の情報通信技術などを用いて、人と道路と車両とを一体のシステムとして構築する新しい道路交通システムの総称。
 官民ITS構想とは、最先端のITSを維持・構築し、世界一の道路交通社会によるメリットを日本国民が享受できるようにするために官民が一体となり策定している戦略。

注2:ETC2.0プローブデータ
 路側に設置されたアンテナにより、ETC2.0車載器を搭載した車両の位置や速度などを200m間隔で取得した走行データ。

注3:モビリティ事業
 自家用車やバス、タクシー、トラック、オートバイや自転車、鉄道などのあらゆる移動や輸送に関連する事業。

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