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2025/4/2

【特殊コンパウンド】BASF、「Ultrason D」で難易度の高いE&E部品の可能性を創出

 BASFは、高い技術要求が求められるE&E部品向けに、高流動のUltrason® D 1010 G6 U40を開発した。この製品はポリエーテルスルホン(PESU)をベースとしており、データ伝送やエネルギー伝送、スマートエレクトロニクス、e-モビリティの分野で、小型化や複合化された部品を射出成形するための難易度の高いニーズを満たすよう最適化されている。この新しい熱可塑性プラスチックは、より低い加工温度で優れた流動性を発揮するため、半導体部品のIGBTやバーンインテストソケットだけでなく、小型で複雑なスイッチ、サーキットブレーカー、センサーの設計も、優れた柔軟性を提供する。Ultrason® D 1010 G6 U40は、相対温度指数(RTI)が高く、ポリエーテルイミド(PEI)やポリフェニレンスルフィド(PPS)よりも高い比較トラッキング指数(CTI)を示し、高温でも安定した電気特性を発揮する。この製品を使用することで、射出成形においては標準的なPESUと比較して溶融温度を12.5%下げることができ、非常に優れた流動性を損なうことなくエネルギーコストの削減が可能。
 この新しいUltrason®グレードは、PESUの優れた耐薬品性と耐熱性に加え、高い剛性と強度、優れた電気的性能、加工のしやすさを兼ね備えている。また、より低い加工温度において、標準的なPESU Ultrason® E 2010 G6よりも優れた流動性を示す。このUltrason® Dグレードは低粘度であり、溶融温度315℃、金型温度160℃にて、厚さ0.5mmで最大3.5cmのスパイラルフロー長を達成する。Ultrason® Dは30%のガラス繊維を配合しているにも関わらず、360℃で成形すると非強化PESUと同等の流動性を示す。そのため、部品の小型化や薄型化が可能となり、アセンブリスペースを節約でき、設計自由度も向上する。
 高流量のUltrason® D 1010 G6 U40は、高い熱安定性、低吸水性、そして、高い絶縁耐力などの電気特性の向上も特徴としている。また、非ハロゲン系難燃剤を使用していることから、電気RTIに優れている。社内テストでは、0.4mm厚でV-0等級(UL94規格 )と評価され、CTIは200VでPLC 3(IEC 60112準拠)に達した。これにより、これまで難易度の高いE&E部品に使用されてきたPEIやPPSよりも低い沿面距離と優れた絶縁性を実現し、E&E部品の小型化をサポートする。
 BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業部スペシャリティーポリマーUltrason®市場開発の貴田和広氏は次のように述べている。 「この新しいUltrason® Dは、電気的・機械的特性に対して特殊な要求がある、エネルギー効率の高い電子デバイスの開発に最適です。定評のある当社のポリエーテルスルホンUltrason® Eの優れた特性を受け継ぎながら、E&E用途における性能の最適化、優れた流動性、加工エネルギーを低減し持続可能な使用を実現します。これにより、e-モビリティや家電部品の新たな可能性が広がります。また、過酷な動作条件下で電圧やデータレートが上昇する用途での、安全性の向上にも貢献します」
 Ultrason® D 1010 G6 U40は、BASFのE&E産業向けUltrason® グレード群の新製品。これらのグレード群は現在および次世代のE&E部品の堅牢性、耐久性、信頼性を高め、デジタル化、ビッグデータやe-モビリティを推進する。特に、性能に対する要件が高く、他のプラスチックでは要件を満たすことができない場合に適している。
 Ultrason®は、ポリエーテルスルホン(Ultrason®E)、ポリスルホン(Ultrason®S)、ポリフェニルスルホン(Ultrason®P)から成るBASFの製品群の商標名。この高性能熱可塑性プラスチックは、水ろ過用メンブレン、スタイリッシュで耐久性があり安全な家庭用品やケータリング用品、自動車産業や航空宇宙産業で使用される軽量部品の製造に使用されている。Ultrason®ブランドは、その優れた特性により、熱硬化性樹脂、金属、セラミックの代替として利用することができる。

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