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2024/4/5

【環境モニタリング装置】スタットピール社、「Identifier P」を販売開始

 スイス・スタットピール社(Stat Peel AG、以下スタットピール)は、医薬品やサプリメント製造業界向けに、製造現場における原薬(API)や材料から発生する有害物質の浮遊ナノパウダーを特定し、工程内でのクロスコンタミネーション(意図しない混入)を発見し、また作業員の吸引暴露リスクを明確にする検出装置「Identifier P」の販売を開始した。

Identifier Pナノ物質検出器




 近年、医薬・サプリメント・化粧品業界において、原材料として原薬(AP)だけでなく、さまざまなナノパウダーが用いられ、また様々なカビ・麹菌由来物質等も多用されるようになったが、その中には吸引することで人体の呼吸器系残留し肺がんなどを引き起こすナノファイバーや、体内に取り込まれることで内臓系(腎臓・肝臓)に重篤な障害を引き起こす毒性物質が含まれる可能性がある。
 また工場外へ流出することにより環境汚染を引き起こすナノ物質も数多く存在する。過去には特にアスベストの多用による健康被害が社会問題となった。製造業では、金属やプラスチックの特性を飛躍的に向上させるカーボンナノチューブに代表されるようなナノファイバーやその他の潜在的に危険なナノ物質が多用されるようになってきている。
 最近では、医薬サプリメントに製造工程において、意図せず混入が疑われる有毒物質による健康被害も問題になっている。

 そこで、製造工程における空気中に浮遊するナノ危険物質の存在をモニタリングして状況を可視化することにより、現在工程内で発生している意図しない物質の混入を早期発見し、また将来起こりうる作業員の健康上のリスクを回避することができる。
 安全な製造現場の確保と可視化および記録は、クロスコンタミネーションの無い確実な製造工程を担保し、安全な製造現場を実現し、工場外への流出を阻止し、企業の社会的役割を果たすために不可欠となる。
 スタットピールは、作業員または作業現場において簡単に使用可能なナノ物質の集塵バッジの開発、そしてバッジからナノ物質の確実な同定とデータ管理を同時に行う検出システム・Identifierを開発した。
 同社の検出器は、ラマン分光法によるナノ物質高精度検出に関して、日本をはじめとした各国で特許を取得しており、高性能センサーにより以下に代表される危険ナノ物質の検出を可能としている。
・医薬品有効成分(原薬:API)および有害物質
・化粧品向けナノ化合物(BNNT、TiO2等)
・カーボンナノチューブ(SWCNT/MWCNT)およびグラフェン
・ナノシリカ粒子(RCS)
・窒化ボロン(BN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)
・ナノセルロースファイバー(CNF/CNC)
※プベルル酸などカビ・麹菌由来生成化合物や、有機フッ化化合物(PFAS)等の、製造工程でのクロスコンタミネーション、製造環境中での暴露リスク、区域外排出有無、排水汚染測定についても相談を承る(サンプルキットによるバッチ測定により対応可否を判定する)。

 浮遊物質はバッジに収集されるため、検出器を測定対象現場に運搬することなく測定が可能。測定バッジを工場各所に設置するか作業員に保持させることにより、シフト毎など定期的にこれらの測定バッチを回収してIdentifierに投入後は、測定が全自動で行われるため、作業者に特別なスキルやトレーニング受講がなくても、作業者暴露量モニタリングや環境中のクロスコンタミ状況の分析が可能となる。
 バッジを測定して得られたデータはRFIDを用いたユーザー管理とデータベースによりシステムに蓄積され、トレーサビリティの実現が可能。すべての測定結果は自動的にデータ化され、また使用済みバッジを保管することにより、環境暴露やクロスコンタミの有無を証明するための重要な証拠として取り扱うことができる。

サンプルバッジ装着例
浮遊ナノ物質のばく露量測定イメージ
バッジ内フィルター自動測定イメージ



 日本市場における販売・サポートはイリスが担当し、スタットピール社のIdentifierの提案、サンプル測定テストの実施などの提案活動を展開している。

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