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2025/12/2
【産業用AI】IFS、IFS Cloud 25R2発表。デジタルワーカーと業務適用型産業用AIでワークフォース生産性10倍向上

<2025年11月28日、英国ロンドン発>産業用AIソフトウェアのリーディングプロバイダーであるIFSは、IFS Cloud 25R2のリリースを発表した。そこでは、最先端のAI技術を、過酷な産業現場の実務に適用している。25R2では、新たに強力なエージェント型AI機能が導入され、IFS Loops デジタルワーカーがシステム間で考え、判断し、行動することで、産業ワークフォースの一員として業務を担う。産業用AIはもはや理論上の技術ではなく、現場での運用が現実となっている。IFSは25R2により、大規模に展開された産業用AIが、人手不足の厳しい状況下でも人的リソースを何倍にも拡張できることを示している。
汎用AIは産業現場では通用しない
IFSのフラグシップイベント「Industrial X Unleashed」では、重要な事実が明らかになった。汎用AIは産業現場では機能しないということである。産業界は前例のない能力不足に直面しており、AIファクトリーの構築、老朽化したインフラの再整備、変動の激しいサプライチェーンの安定化のために17兆ポンドもの資本が投入されている。しかし一方で、数百万件の産業系職種が空席のままであり、今後5年間で産業ワークフォースの50%が退職し、重要な経験や専門知識が失われる見込み。IFS Cloud 25R2は、この課題に適用型産業用AIとデジタルワーカーを活用して直接対応し、産業ワークフォースの能力を事実上無限に拡張する可能性を提供する。
ニューヨークで開催された Industrial X Unleashedにて、IFSのユーザー企業である Kodiak Gas Services社 のCIO、ペドロ・ブヒガス氏は次のように述べている。
「もし弊社のワークフォースの半数が1日1回[IFS Loops]エージェントを活用すれば、年間で300万ドルのROIが得られます。さらに重要なのは、現場サービス技術者が本来の業務に充てられる時間を年間9万時間も確保できることです」
IFS.aiがワークフォースにAIを統合
25R2により、IFS.aiは埋め込み型インテリジェンスとデジタルワーカーをIFS Cloudスイート全体に拡張。ERP、EAM、FSMソリューションでAIが各役割の業務に最適な知識を持つ共働者として機能する。
IFSのチーフ・イノベーション・オフィサー、クリスチャン・ペダーセン氏は次のように述べている。
「IFSソリューションの強みは、実務に深く組み込まれた点にあります。AIが自律的かつ知的に、かつ収益に貢献できる形で現場プロセスに組み込まれて初めて価値を発揮します。汎用の消費者向けAIでは、産業現場では通用しません。これが、世界トップクラスのAIパートナーがIFSと協業する理由であり、顧客が我々を信頼して業務変革を任せる理由です」
「Invisible Work(見えない作業)」の解消 – 次世代自動化
産業組織は、目に見えない生産性の低下に直面している。「Invisible Work(見えない作業)」とは、受注処理、在庫管理、保全スケジュール作成、データ入力などの反復的で時間を要する作業のこと。これらは現場・運用スタッフの能力の40〜60%を消費する一方で、戦略的価値は低く、重要業務の遅延や計画外停止、初回解決率の低下を引き起こす。現場の熟練者が本来注力すべき意思決定や判断に使える時間を奪う原因ともなっている。
IFS Loops デジタルワーカーは、この次世代の自動化を実現する先進的ソフトウェアエージェント。チームと協働しながら複雑なワークフローをシステム横断で実行し、反復作業を効率化。安全で監査可能な環境のもと、企業規模で継続的に業務価値を提供する。従来の消費者向け自動化ツールとは根本的に異なり、以下の特徴を持っている。
考える(Think):保全手順、サプライチェーン制約、資産固有のルールなど、産業現場固有の知識を組み込み
判断する(Decide):規定範囲内で自律的に実行。例外管理時は人間が介入
行動する(Act):24時間365日、システム横断で複雑なワークフローを実行。停止や手作業の引き継ぎなし
監査可能(Remain Auditable):重要業務や規制産業でも完全なトレーサビリティとガバナンスを確保
産業用AIは、人的能力を置き換えるのではなく拡張する。デジタルワーカーは、人手不足やインフラ需要が高まる状況下で人的能力を増幅する。初期提供されるデジタルワーカー5種類は以下の通り。
Customer Order Manager – 受注処理を加速、エラーを削減し、正確な受注完了を保証
Supplier Order Manager – 仕入先発注の正確性・納期を確保、遅延やリスクを軽減
Inventory Replenisher – 在庫切れや過剰在庫を自動で監視・補充
Operations Analyst – 提供複数の情報源を統合し、実行可能な分析情報を提供
Material Replenisher – 重要資材を適時確保し、生産やサービスの遅延を防止
IFSのチーフプロダクト&カスタマーオフィサー、キャシー・ホール氏は次のように述べている。
「弊社は、現場技術者、保全計画担当者、運用チームの日常業務に、最も価値のある形で産業特化型AIを組み込むことを約束します。構築したAIは即座に現場で活用され、測定可能な成果を生み出します。これは、我々の技術への自信であり、お客様との深い関係を通じて市場をリードする原動力です」
産業オペレーションとサプライチェーンをリアルタイムで最適化するAIの活用
IFS Cloud 25R2は、デジタルワーカーとともに、お客様のあらゆる業務プロセスに業務適用型産業用AI(Applied Industrial AI)を組み込んでいる。
フィールドサービス管理(FSM)
技術者向けAIツールにより、生産性と初回修理成功率が向上する。IFS.ai Copilot は現場で即時に情報や重要な回答を提供。作業ブリーフ生成 により、AIが作業概要を作成して準備を支援、抜け漏れを防止する。また、サービスレポート要約 によって、AI生成の明確なサマリーで承認プロセスが迅速化される。
企業資産管理(EAM)
AIにより保全精度が向上し、ダウンタイムを削減、計画精度を強化する。作業テンプレート最適化 ではAIの洞察を活用して保全指示を改善。作業指示レポート自動入力 により、技術者が入力した要約や音声メモが自動的に主要データへ反映される。FMECAデータ強化 によって、故障モードや原因の分析がAIで加速される。
ERP
AIによって計画精度、在庫管理、財務の機敏性が向上する。製造分野では、マルチシナリオ需要計画向けのAI支援MRPシミュレーション、動的価格精度向上のSales Price Elements、規制対応を簡素化するFirst Article Inspectionを提供。財務分野では、仕入先請求書データの自動取得やインテリジェントな事業計画ベースラインが活用できる。
航空機メンテナンス
AIにより保全作業が加速され、部品選定精度が向上する。新機能 IFS.ai Smart Part Finder により、IPCデータとAIを活用して文脈に応じた部品候補を提示。検索時間を短縮し、正確な部品選定で航空機の復旧を迅速化する。
BGIS社 北米オペレーション担当VP、トニー・アロウェイ氏は次のように述べている。
「IFS導入は単なる技術導入ではなく、業務プロセスやベストプラクティス、ビジネス知見を含めた取り組みでした。チーム全員(ジュニアからシニアまで)が同じ場に集まり、業務を見直し、革新し、効率化することができました。この移行と技術パートナーシップを通じて、最終的に30%のコスト削減を達成しました。複雑さをシンプルにすることが成果につながることの証明です」
持続可能かつ収益性の高い成長の実現
IFS Cloud 25R2は、サステナブルな取り組みを自動的に業務へ組み込みつつ、ユーザー企業の財務リターン向上にも寄与する。新たに追加されたAIによるKPIナラティブ生成と排出量トラッキングの強化により、サステナビリティを月末の報告業務ではなく、あらゆるオペレーション上の意思決定に組み込み、可視性を高める。これにより、企業はコンプライアンスおよびサステナビリティレポーティングを強化し、収益性と持続可能性が両立しながら前進できることを実証できる。
IFS Cloud 25R2は2025年11月27日より提供を開始している。IFS Loops デジタルワーカーおよび最新リリースの詳細については、こちらを参照。
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