アーカイブ情報
2024/9/16
【真空含浸補修技術】東レ、炭素繊維複合材料を用いた「現場VaRTM工法」がアメリカ船級協会型式承認取得
東レは、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO:Floating Production, Storage and Offloading system)および浮体式海洋石油・ガス貯蔵積出設備(FSO: Floating Storage and Offloading system)向けに、炭素繊維複合材料(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)を用いた真空含浸補修技術“現場VaRTM工法”を活用した、腐食による設備の減厚箇所への標準的な船舶補修工法として世界で初めて、アメリカ船級協会(ABS:American Bureau of Shipping)の型式承認を取得した。
ABSは世界有数の船級協会であり、世界のFPSOおよびFSOの約半数がABS認証船。今回の型式承認取得により、ABS認証船は東レが特許を有する“現場VaRTM工法”が適用可能となり、船舶補修の際に必要なエンジニアリングレビューや検証に要する時間を削減できる。
FPSOやFSOの設備保守は、一般的に、洋上での鋼材による補修が行われているが、溶接は火気工事を伴うため、石油やガスの生産を停止する必要がある。今回ABSの型式認定を取得した“現場VaRTM工法”は、2020年に三井海洋開発と東レが共同開発し、補修対象の既設鋼構造物の表面に、東レの強度と弾性率のバランスに優れる炭素繊維を使用した織物「トレカ®クロス」を配置し、その上からフィルムで被覆後、真空ポンプで真空状態を形成し、エポキシ樹脂を注入・硬化させて形成したCFRPと鋼構造物を一体化させる技術(特許取得済)。
“現場VaRTM工法"により、従来の鋼材を用いた補修法と比べ、資機材の搬入が容易で、少人数・短期間での施工が可能となり、かつ、火気工事を伴わないため、補修工事が石油やガス生産に与える影響の最小化が期待できる。
- カテゴリー
- コンバーティングニュース