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2024/2/8

【知財】レゾナック、インダクタ用磁性封止材に関する特許維持が決定。ADAS、メモリモジュール、スマートフォン向けインダクタの信頼性、磁気特性向上に貢献

 レゾナックは、第三者から異議の申立てを受けていたインダクタ*用磁性封止材に関する日本国特許(特許第7081612号)について、2023年11月2日に、特許庁により有効と判断されたことを明らかにした。
 近年、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信システム)、ADAS(先進運転支援システム)などの技術が普及、拡大し、スマートフォンからxEV(電動車)まで、あらゆる機器において、より複雑な制御が求められている。これにともない、信号のノイズ除去や電圧の制御に必要なインダクタの需要も拡大している。
 電源回路に用いられるインダクタには、主に、導線がコイル状に巻かれた巻き線インダクタが使われる。巻き線インダクタは、巻き線を、樹脂と磁性粉を配合した磁性材で成型するが、通常、インダクタの磁気特性を上げるために、高圧で圧縮する。しかし、圧力による影響で、コイルの変形、巻き崩れ、クラックが発生し、信頼性が低下するリスクがある。 そこで同社は、磁性材の樹脂や磁性粉の種類および配合を改良することで、低圧で成型でき、かつ磁気特性を向上することができる、インダクタ用磁性封止材を独自に開発し、2020年に量産を開始した。主に、 ADAS、メモリモジュール、スマートフォンのパワーインダクタに使用され、その信頼性、磁気特性の向上に貢献している。最近では、半導体向けへの展開も検討している。

巻き線インダクタ 断面概念図(一例)
インダクタ用磁性封止材

 レゾナックは、インダクタ用磁性封止材に係る発明の特許を、2022年に取得したが、2022年11月に第三者から異議の申立てがあり、特許の取消理由通知を特許庁より受領した。これに対して同社は一部訂正を行い、訂正請求書、意見書を特許庁に提出し、審理された結果、同社の主張が認められ、このたび特許維持の決定が下された。
 本特許に係る技術については米国、中国でも権利化されており、欧州でも権利化手続きを進めている。
 レゾナックは、国内外においてインダクタ用磁性封止材技術に係る発明の特許を継続的に出願し、強固な特許網の構築に努めている。今後も事業戦略に沿った特許の出願と権利化を行い、知的財産権を法的に保護することで健全な競争を促すとともに、自社技術の価値を高めていく。

高圧成型(変形等の例)および低圧成型により封止したインダクタ断面

* インダクタは、導線がコイル状に巻かれた受動素子(電子部品)。巻線型、薄膜型、積層型があり、高周波/低周波信号の選択、信号のノイズ除去を行う高周波回路用インダクタと、電圧の制御を行う電源回路用インダクタ(パワーインダクタ)に分類される。

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