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2024/10/30

【第8回接着・接合EXPO】東洋紡、新架橋樹脂「ビトリマー」応用による環境配慮型高耐熱接着フィルム出展

 東洋紡は、10月31日まで、幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催中の「第8回接着・接合EXPO」の同社ブースにおいて、“ビトリマー(Vitrimer※1)”と呼ばれる新しい架橋※2樹脂を応用して開発した異種材料接着向け「環境配慮型高耐熱接着フィルム」を展示している。アルミとGI鋼板、ステンレスなどの金属、エポキシ樹脂やガラスといった異種材料の接着に適したこのフィルムの特長について、車載部品、半導体、電子材料向けなどを視野に訴求し、早期の実用化を目指す。ブースは3ホールの15-30。

環境配慮型高耐熱接着フィルム

「異種材料接着向け環境配慮型高耐熱接着フィルム(開発品)」
 ビトリマーと呼ばれる、樹脂の構造の一部に「結合交換性動的共有結合」を持つ新しい架橋樹脂を応用して開発した高耐熱接着フィルム。ポリマー間の架橋状態を維持しながら熱可塑性樹脂のように圧力や熱などに応答可能なビトリマーの特性により、短時間の加熱・加圧処理を行うだけで寸法を保持したまま接着できる。また、本フィルムは製造時点で架橋反応が完了しているため、一般的な半硬化型の接着フィルムのように常温環境下で架橋が進行し硬化することがなく、溶剤フリーでありながら常温保管・輸送が可能。冷蔵保管や架橋処理に必要なエネルギーの削減に貢献できる環境配慮型の高耐熱接着フィルム。
 同フィルムは150℃以上に加熱することで接着が可能になるため、金属やポリイミド、PETなどの耐熱性樹脂やガラスといった、車載部品用途向けの異種材料同士の接着に利用できる。また、樹脂垂れ・はみ出しの影響が小さいという特長により、極めて狭い範囲の接着が必要とされる半導体の製造工程などにも有用。
 東洋紡と東洋紡エムシーは昨年、ビトリマーを応用した電子材料向けの高耐熱接着シートを開発※3。このたび東洋紡は、ビトリマー製品の幅広い用途向けの展開可能性を訴求するため、異種材料の接着用途向けに同じく共同開発品である同フィルムを出展する。
“ビトリマー(Vitrimer)”について
 2011年、フランス L.Leibler氏らにより開発・定義・命名された新しい架橋樹脂。加熱や加圧により二次成形が可能な特長を生かすことで、再成形性・自己接着性・自己修復性などを有する高機能なポリマーが実現できるとして注目を集めている。東洋紡は、2019年より、国内ビトリマー研究の第一人者である名古屋工業大学大学院工学研究科 工学専攻(生命・応用化学領域) 林 幹大 助教との共同研究※4を開始。ビトリマーの設計・製造・評価などに関する基礎技術の研究・開発や、製品への応用・実用化に向けて取り組んでいる。
※1 「Vitrimer」はFONDS ESPCI PARISの登録商標。
※2 物理的、化学的な刺激によってポリマー同士の性質を変化させ結合させる反応。架橋反応により3次元網目構造となり、強度を有す。
※3 2023年11月29日付プレスリリース
※4 名工大との共同研究については、2020年度より名工大がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「官民による若手研究者発掘支援事業(JPNP20004)」の支援を受けて研究開発を進行中。

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